喪主・関係者の知識

投稿日:2018年9月17日

更新日:2024年2月28日

散骨って違法なの?散骨方法から費用まで詳しく解説

遺骨の埋葬方法は、お墓以外にも樹木葬や納骨堂などいろいろと選べる時代になりました。

最近はエンディングノートに「散骨」での埋葬を希望する人が増えています。

そこで今回は散骨の種類や費用について詳しくお伝えしていきます。

「散骨って違法じゃないの?」

「個人で散骨ってできるの?」

といった散骨にまつわる疑問についてもお答えします。

この記事でわかることは以下の4つです。

  • ・散骨とは何か
  • ・散骨は違法なのか?
  • ・散骨の種類・費用一覧
  • ・散骨のメリット・デメリットとは?

散骨とは?

散骨とは遺骨を粉状に砕いて海や里山にまくことです。

現在は行政上の手続きが不要でできますが、業者へ依頼する場合は埋葬許可証等の書類提出が必要となります。

「海が大好きなので海にまいてほしい」という方のほかにも、「お墓の後継者がいない」、「法要・お墓の修繕費といったコストをなくしたい」という方にも人気の散骨。

散骨する場所は海や里山が多いですが、空中葬や宇宙葬などの選択肢もあります。

散骨は違法なのか?

散骨は違法ではありません。

散骨に関する法律は今のところありませんが、埋葬に関する法律は「墓地・埋葬等に関する法律」(略して「埋墓法」)に定められています。

1948年に埋墓法が制定された当時は「散骨」という概念がありませんでした。

そのため散骨についてハッキリと記された法律はなく、グレーゾーンとされていたのです。

しかし1991年、法務省が「葬送のために節度を持って行われる祭祀であれば、散骨は遺骨遺棄罪には問われない」という見解を出しました。

それまでグレーゾーンとされていた散骨が、非公式ではありますが認められたことになります。

ただし刑法190条において「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する」と定めています。

遺骨は遺体と同等の扱いとなるため、遺骨をそのまま散骨することは禁止、という意味ですね。

必ず粉骨して2ミリ以下の粉状にしてから散骨しなければなりません。

さらに国が定めたルールのほか、各自治体の取り決めもあるため、個人で散骨を行う場合は十分注意してください。

2021年には厚労省が「散骨に関するガイドライン」を策定しています。

こちらのガイドラインは散骨の定義や自然環境への配慮などが盛り込まれており、主に事業者向けの内容となっています。

利用者保護の観点から、事業者は契約内容の約款を明記することが必須。

利用者の求めがあれば約款を開示しなければなりません。

散骨の種類と費用一覧

それでは散骨の種類とそれぞれの費用について見ていきましょう。

散骨方法によって注意点もありますので、そちらも一緒にまとめてみました。

散骨の種類別の特徴&注意点

散骨方法それぞれの特徴や注意点について解説します。

海洋散骨

海洋散骨は業者依頼が一般的です。

散骨する際は「委託散骨」・「合同散骨」・「貸切散骨」の3つの選択肢から希望のタイプを選べます。

「委託散骨」は業者へ遺灰を託して散骨をお願いする方法。

費用を最小限にまで抑えられるメリットはありますが、業者へ任せてしまうので遺族は散骨を見届けることができません。

「合同散骨」は他の遺族と一緒にチャーター船に乗り、沖合いで散骨する方法です。

「委託散骨」とは異なり遺族が自ら散骨できますが、ほかの遺族も一緒に乗船するので気になる方には不向きです。

「貸切散骨」は故人の遺族のみがチャーター船に乗って散骨する方法です。

貸切りですので他の方に気兼ねなく供養に集中できるでしょう。

ただし船が貸切りとなるため高額となってしまう点はデメリットといえます。

海洋散骨の主な流れは以下の通りです。

①散骨の相談・申し込み

散骨の申し込みは生前でも受付可能です。

残された家族の負担を減らしたい場合は事前に申し込んでおいても良いでしょう。

②申込書類の記入

散骨の申込書類は業者によって異なりますが、「埋葬許可証」(地域によって名称は異なります)は必ず必要です。

もともとお墓に埋葬されていた遺骨を散骨する場合は、「改葬許可証」が埋葬許可証の代わりになります。

「改葬許可証」を発行してもらうには、まずお墓の管理者に「納骨証明書」の申請をします。

移転元の市区町村で「納骨証明書」と「改葬許可申請書」を提出すると、「改葬許可証」が発行してもらえます。

ただし、自治体によっては散骨を「改葬」と認めないところもあり、「改葬許可証」が発行できない場合もあります。

その場合はお墓の管理者へ「遺骨引き渡し証明書」を申請しましょう。

③遺骨を業者へ渡す・もしくは郵送

遺骨を郵送できるのは郵便局だけです。

民間の宅配業者が遺骨を運搬することは約款で禁じられています。

④粉骨する

粉骨を業者へ依頼すると1万~3万円ほどかかります。

こちらは散骨費用とは別途でかかるため覚えておきましょう。

散骨を依頼することで安くしてくれる業者もありますので、確認してみてください。

個人でも粉骨ができないわけではありませんが、焼骨には「六価クロム」という有害物質が含まれています。

中和剤を入れて無害化するなどの処置が必要ですので、業者に依頼するのがオススメです。

⑤乗船・もしくは業者へ散骨委託

業者の指定する港まで行き、チャーター船で沖合いに向かいます。

スタッフや船長の指示に従い、散骨を行いましょう。

⑥散骨式

船上で献花や献酒、黙祷を捧げるセレモニーが行われます。

現在は水溶性の花びらなどを海へまくことが多いようですね。

業者によっては祭壇に献花をしたり、宗教者が同乗して挨拶を行ったりします。

⑦帰港後、納骨証明書の発行

港へ到着後、業者より納骨証明書が発行されます。

プランによっては散骨時の写真をもらえたり、メモリアルクルーズが行われる場合もあります。

里山散骨

里山散骨と樹木葬を混同する方もいるかもしれません。

2つの埋葬方法における最大の違いは「お墓の有無」です。

樹木葬とはもともと墓地であったところに草木を植え、墓標がわりにする埋葬方法。

遺骨を骨壺に入れて埋葬することもあれば、そのまま遺骨を埋葬する場合もあり霊園によって異なります。

また遺骨を個別で埋葬する場合と共同で埋葬(合祀)する場合では料金も異なってきます。

里山散骨は自然にある野山に粉骨した遺灰をまく方法ですので、樹木葬とは少し異なります。

ただし自治体によって散骨を禁止しているところもあります。個人で散骨を行う場合は留意しなくてはなりません。

里山散骨で遺灰を撒く場合、遺灰の上から土や枯葉を上から被せないよう注意しましょう。

被せることで「埋める」ことになってしまい、法律に触れる恐れがあります。

また里山散骨を個人でする場合、喪服で行うと近隣住民とのトラブルを招きがちです。

略喪服などの落ち着いた色味の服装で行いましょう。

略喪服について詳しく知りた方は以下の記事をご参照ください。

家族葬での服装マナーとは?親族側・参列者側それぞれの服装を説明

 

空中葬

空中葬とはヘリコプターやセスナを使用して、空中で遺灰をまく散骨方法です。

海や里山とはまた少し違った趣の散骨ですよね。

バルーンに遺灰を入れて成層圏あたりまで飛ばす散骨方法もあります。

宇宙葬ですと費用が高額になってしまいますが、ギリギリ成層圏まで飛ばす空中葬であれば30万円前後で散骨できます。

天候に左右される点は難点ですが、海洋散骨のように乗り物に乗らなくて良いため、遺族全員で故人を見送れる点はメリットでしょう。

宇宙葬

宇宙葬とは遺灰の一部をカプセルに入れて、ロケットで打ち上げる散骨方法です。

打ち上げた遺灰が人工衛星になるプランの場合、短くて数日、長いと数十年にわたって地球の軌道を周回します。

まるで故人が宇宙から見守ってくれているようですよね。

宇宙葬のプランはほかにも「月面へ運ぶプラン」や「宇宙へ向けて永遠の旅に出るプラン」などがあります。

大変ロマンがありますが、デメリットもあります。

遺灰を入れたカプセルは何名分かをまとめて打ち上げるため、亡くなってすぐの散骨ができないこと。

また遺灰は3gや5gなど微量しかカプセルへ入れられないため、残った遺灰を何かしらの方法で埋葬しなければなりません。

散骨のメリット(共通)

埋葬費用が抑えられる点は散骨の最大のメリットといえるでしょう。

たとえば寺院で納骨する場合、お布施などを含めて平均20~100万円程度かかるといわれています。

先ほどの一覧表を見ていただくとわかる通り、散骨は個人であれば10万円以下で行うことも可能。

さらにお墓の場合は埋葬以外にも寺院・霊園への管理費の支払いや劣化時の修繕費等、ランニングコストがかかります。

その点、散骨は一度セレモニーを行えばその後の管理費や法要代などを浮かせることができます。

子供が遠方に住んでいてお墓の管理が難しい場合や、そもそもお墓を継承する人がいない場合、散骨を選択肢の中に入れてもいいかもしれません。

お墓の費用や改葬については以下の記事も参考になさってください。

お墓の維持費、目安や相場はどのくらい?払えない場合はどうする?

お墓の移動(改葬)に関するすべてを解説!注意点も

散骨のデメリット(共通)

散骨のデメリットは毎年のお参りができないことや、遺灰が手元に残らない点でしょう。

ただし一部散骨にして遺灰を少しだけ手元に置くことは可能です。

遺灰を入れるネックレスやリング、真珠養殖などの方法で、遺灰をいつでも身につけられるようにする方もいらっしゃいます。

散骨は合理的な埋葬方法ですが、親族へ相談せず勝手に行ってしまうとトラブルを招く恐れもありますので注意しましょう。

 

家族葬のウィズハウスでは海洋散骨や樹木散骨など、散骨のご希望について承っておりますので是非ご相談ください。

ウィズハウス 葬儀後のサポートについて(ページ下部の「納骨」をご覧ください)

まとめ

  • ・散骨は「海洋散骨」や「里山散骨」のほか、「空中葬」や「宇宙葬」などもある
  • ・散骨は葬送として節度を持ったものであれば違法にあたらない
  • ・どの散骨方法でも遺骨を2ミリ以下の粉状にするのがルール。業者に1~3万円で依頼できる
  • ・散骨はランニングコストが不要のため、お墓の後継者がいない方にも最適の埋葬方法

 

 

 

 

 

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この記事を書いた人

大崎 美智

故人様とのお別れの時間を大切にいたします。

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