その他の豆知識
自宅に新しく仏壇を設置する際、置くべき方角で悩んだことはないでしょうか?
「宗派ごとに違いはあるのか?」「家に仏間がないときはどこに設置すればいいのか?」
といった疑問のある方もいらっしゃるでしょう。
今回は仏壇を置く際の適した場所についてのお話です。
この記事でわかることは以下の3つです。
- ・仏壇を置いてはいけない場所とは
- ・仏壇の向きや方角は宗派によって異なる?
- ・仏間がない場合はどこに仏壇を置く?
仏壇を置いてはいけない場所とは?
実は「仏壇はこの方角に置くべき」といった明確な決まりはありません。
しかし神棚との配置や部屋自体の環境については気を付けるべきことがあります。
以下の5つのNGポイントをクリアした場所を選びましょう。
- ①神棚と向かい合う場所・上下の位置関係になる場所
- ②床の間と向かい合う場所
- ③お参り時にご本尊を見下ろしてしまう場所
- ④風通しの悪い場所・直射日光の当たる場所
- ⑤暖房・冷房器具の風が直接当たる場所
それぞれ詳しくご説明します。
①神棚と向かい合う・上下の位置関係になる場所
仏壇と神棚を向かい合う形で設置すると、どちらかを拝むときに背を向けてしまいますよね。
そのため向かい合わせで設置するのはNGとされています。
この置き方は「対立祀り」とも呼ばれており、家に凶をもたらす配置なのだそう。
仏壇と神棚を同じ部屋に置くのは全く問題ありませんが、向かい合う形の設置は避けてください。
また仏壇と神棚を上下の位置で配置するのも良くありません。
どちらに拝んでいるかがわかりづらいですし、見た目にも「どちらが上か」ということがハッキリしてしまうためです。
②床の間と向かい合う場所
床の間は家の中で「最上座」とされています。
床よりも一段高くなる作りの床の間は、格式の高い場所という位置づけ。
床の間の反対側は「下座」となってしまうため、仏壇を置く場所としては不向きです。
③お参り時にご本尊を見下ろしてしまう場所
仏壇にお参りする際、ご本尊を見下ろしてしまう高さに設置するのもNGです。
ご本尊を少し見上げてお参りできるくらいの高さがベストでしょう。
立ってお参りする場合は、胸よりも少し上あたりに仏壇がくるよう設置してください。
④風通しの悪い場所・直射日光の当たる場所
仏壇を長持ちさせるために気を付けたいのが部屋の環境です。
特に風通しの悪い場所や、直射日光の当たる場所には仏壇を置かないよう気を付けましょう。
風通しの悪い場所ですと湿気によるカビの心配があります。
また直射日光の当たる場所に置くと、色褪せや日焼け・高熱による変形の恐れも。
人が過ごしていて心地よいと思える場所に置くことを心がけましょう。
⑤暖房・冷房器具の風が直接当たる場所
エアコンやファンヒーターの風が当たる場所も避けてください。
仏壇は基本的に木製ですので、直接風が当たることで劣化につながります。
また自宅周辺に海がある場合などは、塩害で仏壇の金具や金箔が錆びやすくなる危険性があります。
宗派ごとに仏壇を置く方角は異なる?
宗派によっては置き場所の方角を推奨している場合もあります。
まずは簡単に表で説明します。
本山中心説
本山中心説とは、宗派の本山に向かってお参りする方角に設置することです。
本山中心説は真言宗で推奨されています。
真言宗の本山は和歌山県の「高野山金剛峰寺」ですが、そちらの方角に向かって設置します。
西方浄土説(極楽浄土説)
仏壇を東側に置き、西に向かってお参りする形が西方浄土説です。(極楽浄土説と呼ばれることもあります)
西方浄土説はインドの「日が昇る方角は“立身出世”のできる吉方位」という考えから生まれたとされています。
浄土宗・浄土真宗・天台宗で推奨されていますが、ご本尊である阿弥陀如来が西方浄土(西側)におられることも理由の一つです。
南面北座説
南面北挫説とは仏壇を南側に置き、北に向かってお参りする形をいいます。
「仏壇は北向きNG」という考え方の元となっている説ですね。
「位の高い人は南を向いて座る」という中国の慣習からきているといわれています。
またお釈迦様が説法を行う際に南向きに座ったとされることから、曹洞宗や臨済宗などで推奨されています。
特に決まりなし
日蓮宗、もしくは無宗教の場合は仏壇を置く方角に特に決まりはありません。
昔から「春夏秋冬説」もしくは「十方浄土説」という考え方も根強くあります。
「方角などは気にせず、故人が一番安らかに眠れる場所へ設置する」という考えが「春夏秋冬説」。
「十方浄土説」は東西南北だけでなく、北東や西南などあらゆる方向に浄土があるという考え方です。
仏間がないときはどこに仏壇を置けばいいのか?
最近は仏間のない一戸建てやマンションが珍しくないですよね。
そのような場合はどこに仏壇を置けばよいのでしょうか?
リビングや洋室
仏間・和室がない場合はリビングや洋室に仏壇を置いても問題ありません。
家族みんなが集まる場所に仏壇を置くことで故人も喜ぶかもしれませんし、一つの選択肢でしょう。
最近はリビングにおいても違和感のない、まるで家具のような作りの「モダン仏壇」も人気です。
お部屋の家具とマッチしやすく「いかにも仏壇」という感じがしません。
(モダン仏壇について興味のある方はコチラの記事もご覧ください)
リビングに設置する際の注意点としては、扉開閉時のサイズを考慮することです。
たとえば棚の中に仏壇を収納する場合、扉の閉まった状態でピッタリサイズですと扉を開けられない恐れもあります。
購入時のサイズ確認はしっかりしましょう。
どうしてもスペースが確保できない場合はコンパクトタイプの仏壇がおすすめ。
キャビネットに上置きするタイプや棚の空きスペースに置ける簡易的な仏壇など種類も豊富です。
また押し入れ部分を改造して仏壇専用スペースを作るお宅もあるようですね。
仏壇の選び方についての解説記事もございますので、ぜひ参考になさってください。
床の間
和室があり、床の間があるようならそちらに仏壇を設置しても良いでしょう。
先述しましたが、床の間は間取りの中で「最上座」とされる場所です。
ご先祖様をお祀りするのに最適の場所といえるでしょう。
仏壇の横に設置されることの多い床の間は、もともと香炉や掛け軸などの仏具を供える場所でもありました。
寝室
リビングなど目立つ場所に仏壇を置きたくない場合は寝室に置いても問題ありません。
新築の場合は寝室の壁の一部をくり抜き、備え付けの仏壇を作るお宅もあります。
足を向ける位置に仏壇を設置しないよう注意しましょう。
ウィズハウスと同グループの「供養ギャラリー リ・ノイ」でもモダン仏壇やミニ仏壇など、現代のライフスタイルに合った形の仏壇を多数ご案内しています。
さまざまなタイプの仏壇や仏具を購入することができますので、ぜひご覧になってみてください。
まとめ
- ・仏壇を置いてはいけない場所として「神棚と向かい合う・上下になる場所」・「床の間の向かい側」・「ご本尊を見下ろしてしまう位置」・「風通しが悪い・直射日光が当たる場所」・「暖房・冷房機器の風が直接当たる場所」の5つが挙げられる
- ・「本山中心説」や「西方浄土説」、「南面北座説」など宗派によって推奨している方角もある
- ・「春夏秋冬説」や「十方浄土説」など、どの方角に置いても問題ない、という考え方もある
- ・仏間や和室がない場合はリビングや洋室・寝室に置いても良い
- ・近年はモダン仏壇やコンパクトタイプなどお部屋になじみやすい仏壇も人気