
マナーやご作法
葬儀は、故人を偲び感謝を伝える重要な場であり、適切なマナーを守ることが求められます。特に喪主や参列者には、それぞれの立場に応じた振る舞いが必要です。旭川市を含む北海道では、地域特有の習慣や一般的なマナーが融合しているため、事前に理解しておくことが大切です。
本記事では、喪主側と参列者側の葬儀マナーについて、具体的な注意点や対応方法を解説します。葬儀の種類や流れも含めて、地域性に配慮した適切な対応を確認しましょう。
旭川市独自の葬儀マナーは存在しません。しかし、北海道独自のマナーはあります。本州と比較して異なる部分が多いため、道外から葬儀に参列する場合、慣習の違いに戸惑ってしまう方います。例えば、火葬場への移動がバスであったり、通夜振る舞いが親族のみであったりする点です。ほかにも、香典返しはその場で、なおかつ領収書が出る点も、本州の葬儀のマナーとは異なります。これらに注意する必要があるため、特に道外の人は注意してください。詳細は、こちらの記事で解説しています。
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旭川市にて、喪主の立場で葬儀を執り行う際に留意するべき点を紹介します。主にマナーが関わる項目は以下のとおりです。
それぞれ見ていきましょう。
喪服には正喪服・準喪服・略喪服と3つの格式があり、喪主が着用するのは最も格式が高い正喪服です。男性はモーニング(ただし日中のみ)または五つ紋の入った羽織袴、女性は光沢のない黒のワンピースやフォーマルスーツ、または五つ紋つきの着物を着用するのが正式なマナーです。ただし近年では、男性はフォーマルのブラックスーツ(準喪服)を着用する方が増えています。
喪主からの挨拶は、火葬式を除いたすべての葬儀形式において必要です。挨拶のタイミングは大きく分けて「通夜の終わり・告別式の終わり・出棺時」の3つです。
参列者や僧侶に対する心からの感謝を述べます。ただし、長すぎるのはよくないため3分程度を目安としましょう。
また、挨拶する際は「忌み言葉」を含めないよう注意が必要です。忌み言葉については、本記事の『言葉遣い』でも解説しているため、そちらを参照してください。
お布施は、故人を供養していただいた僧侶へのお礼、または寺院や宗主への感謝を「お気持ち」として包むものです。相場は宗派やお寺との関係性によって異なります。お渡しするタイミングは、繰り上げ法要の前後が一般的です。
お布施は、白い封筒または奉書紙に包んで用意しておきます。お渡しする際はお盆に乗せて、僧侶から「お布施」の文字が見えるように渡すのがマナーです。手渡しは失礼にあたるため、必ずお盆を用いましょう。渡す際には「本日はありがとうございました」と一言添えると丁寧です。
香典返しは、いただいた香典へのお礼として渡す品物です。一般的には四十九日法要後に送りますが、北海道では即日返しを行う場合もあります。香典返しの品にはのし紙をかけ、表書きを「志」、喪主の姓を記載するのが基本です。
また、法人からの香典に対して領収書を求められる場合があります。その際は、香典の金額や宛名を正確に記載し、葬儀社と相談して発行してください。適切な香典返しと領収書の対応で、感謝の気持ちをしっかりと伝えましょう。
北海道独特の文化として、参列者や親族の集合写真として撮影される場合があります。ただし、撮影には慎重な配慮が必要です。写真は故人を偲び、家族の絆を記録する目的で行われますが、参列者の了承を得ることが大切です。
また、撮影するタイミングは葬儀の進行を妨げないよう配慮し、なるべく終了後に行うのが望ましいでしょう。撮影後は写真を丁寧に扱い、故人を偲ぶ場面に相応しい形で保存・共有することが求められます。不適切な扱いは避けるよう心掛けましょう。
参列する側にもマナーは必要です。具体的には、以下の8つです。
それぞれ見ていきましょう。
参列者の場合は、準喪服を着用します。ただし、基本的には黒を基調とした衣装になりますが、男女で細かな服装のマナーがあります。特に大人は、十分注意しましょう。
なお、子どもは学校や幼稚園の制服が礼服となります。また、赤ちゃんは特に決まりがないため、派手な服装でなければ問題はありません。黒や紺などの濃い色の服を選び、キャラクターのついたものは避けた方がよいでしょう。
男性の葬儀参列時の服装は、正式な喪服やブラックスーツが基本です。喪服の場合、シングルのブラックスーツに白無地のシャツ、黒のネクタイを着用します。靴や靴下も黒で統一し、光沢のある素材や装飾のついたものは避けましょう。
カフスや腕時計も控えめなデザインにするのがマナーです。季節に応じてコートを羽織る場合も、黒やダークグレーのフォーマルなものを選び、会場に入る前に脱ぐのが一般的です。
基本的には、ブラックのスーツを着用すれば間違いありません。通夜の場合、準備ができていない場合は略喪服でも問題ないとするケースが一般的です。
女性の服装は、正式な喪服やブラックフォーマルスーツが基本です。喪服の場合は、光沢のない黒のワンピースやアンサンブルを選び、スカート丈は膝が隠れる長さが望ましいです。トップスは肌の露出を控え、袖の長いものを選びます。靴やストッキングも黒で統一し、装飾の少ないシンプルなデザインを心掛けましょう。
アクセサリーは基本的に真珠のネックレスやイヤリングが適切とされ、二連は不幸が重なるとされ避けます。ヘアスタイルは派手にならないようにまとめ、メイクも控えめに整えてください。季節に応じて羽織るものが必要な場合は、黒やダークカラーのコートを選び、会場では脱ぐようにします。
北海道における香典の相場は以下のとおりです。
北海道の香典の費用相場 | |
両親 | 3万円〜10万円 |
祖父母 | 1万円〜3万円 |
兄弟 | 3万円〜5万円 |
親戚 | 1万円〜3万円 |
一般の参列者 | 5千円 |
旭川市内でも大きく変わりはありません。
香典の包み方も共通です。仏式の葬儀であれば、白黒の水引が印刷されている香典袋や、白黒の水引が掛かっている封筒を用います。表書きは宗派により異なりますが、「御香奠」と「御香料」はすべての宗派で使うことができます。水引の下段に、差出人の名前を記入しましょう。
包んだ金額は裏面に記入します。その際、金額の改ざんを防ぐ目的で漢数字の旧字体(大字)を使用します。例えば、5千円を包んだ場合は「金伍仟圓也」のような形です。
注意点として、「死・苦」を連想させる「4・9」の数字は包まないようにしましょう。
香典袋は袱紗(ふくさ)で包み、葬儀場まで持っていきます。挟むタイプは香典を入れるだけでよいですが、包むタイプの袱紗には手順があります。包み方は以下の通りです。
香典は、葬儀場に到着した際にお渡しします。受付係の前で袱紗から取り出し、お悔やみの言葉を伝えつつ、相手から文字が読める向きで渡すのがマナーです。
仏式の葬儀では焼香が行われます。宗派によって作法に若干の違いがあるため、故人の宗派が事前にわかっている場合は、把握しておくと安心です。宗派による焼香の作法は以下の表をご覧ください。
宗派別・焼香の作法 | |
宗派 | 焼香の作法 |
浄土真宗本願寺派 | 抹香を1回つまみ香炉へくべる |
真宗大谷派 | 抹香を2回つまみ香炉へくべる |
浄土宗 | 抹香をつまみ額に押しいただいてから香炉へくべる (回数に定めはないが基本的には3回) |
天台宗 | 抹香をつまみ額に押しいただいてから香炉へくべる (回数に定めはないが基本的には3回) |
真言宗 | 抹香を3回つまみ額へ押しいただいてから香炉へくべる |
臨済宗 | 抹香を1回つまみ香炉へくべる |
曹洞宗 | 抹香をつまみ1回額へ押しいただいてから香炉へ、2回目はそのまま香炉へくべる |
日蓮宗 | 抹香を1回または3回つまみ額に押しいただいてから香炉へくべる |
ただし、故人の宗派がわからない場合は、自身の宗派にならった焼香の作法で問題はありません。故人のご冥福を祈り、丁寧に行いましょう。
葬儀の場では、使っていけない言葉が存在します。「忌み言葉(いみことば)」と言われており、直接的な表現または不吉な出来事を連想させる言葉が該当します。
代表的な忌み言葉は以下のとおりです。
直接的な表現 | 死ぬ・急死 |
不吉な言葉 | 大変・消える・落ちる・浮かばれない |
不幸が続くことを連想させる言葉 | 再び・また・続いて・追って・ひき続き |
重ね言葉 (不幸が重なることを連想させる言葉) | またまた・次々・重ね重ね・いよいよ・返す返す |
「死」や「苦」を連想させる言葉 | 数字の「4」「9」 |
特に喪主挨拶をする方は、十分注意してください。
遺族から直接訃報を受けた際はお悔やみの言葉をお伝えします。もし故人と親しい間柄であれば、できる限り急いで駆けつけるようにしましょう。お会いした際にも、お悔やみの言葉を忘れてはいけません。
通夜や葬儀への参列を希望された場合は、特別な用事がない限り参列するのがマナーです。どうしても参列できない場合は理由をしっかりと伝え、当日には電報を入れる・供花を送るなどで追悼の意を表しましょう。葬儀後に都合をつけて弔問に伺う配慮も大切です。
遺族から直接ではなく、友人から訃報を聞いた場合や親密な付き合いがなかった場合は、通夜の日程連絡を待つのが無難です。故人の勤務先や仕事上関係のあった方は、上司からの指示を待ちましょう。
遺族から弔辞を頼まれた場合は、快く承諾しましょう。よほど事情がない限りは断らないのがマナーです。弔辞はかしこまった文章でなくても問題はありません。故人を思う心のこもった内容であれば十分です。どうしても引き受けられない場合は、理由を伝えて丁重にお断りしましょう。
何らかの事情で葬儀に遅刻や早退をする場合は、事前に喪主や関係者に連絡を入れ、事情を説明することがマナーです。やむを得ない理由がある場合は、無断で行動するのは避けましょう。
遅刻する際は、静かに会場に入り、進行の妨げにならないよう注意します。焼香が済んでいる場合でも、最後に軽く手を合わせるなど、故人への哀悼の意を示すことが大切です。早退の場合も、式の進行を中断させないように退席のタイミングを見計らい、静かに退出してください。
旭川市の葬儀は、一般的な流れに沿って進行しますが、地域特有の風習が見られる場合もあります。主な種類には、家族葬や一般葬があり、宗教や希望に応じて形式が異なります。
大まかな流れは「納棺・通夜」「葬儀・告別式」「法要(初七日など)」が基本です。それぞれの場面で、故人や参列者への配慮を重視した進行が求められます。
納棺は、故人を棺に納める大切な儀式で、遺族が中心となって行われます。通常は僧侶や葬儀社のスタッフが進行を補助し、故人の身支度や想い出の品を一緒に納めます。
お通夜は、故人との最後の夜を過ごす時間であり、遺族や親族・参列者が集まり弔意を示します。旭川市では、通夜振る舞いと呼ばれる軽食を振る舞うことが一般的ですが、近年は簡略化される場合もあるようです。
葬儀・告別式は、故人を見送り、その生涯を偲ぶ正式な儀式です。葬儀は主に宗教的な儀礼を行い、僧侶による読経や焼香を通して故人の安寧を祈ります。続く告別式では、参列者が個別に故人へ別れを告げる場となります。
場合によっては朝から行われることもあれば、一日葬のように1日で完結する場合もあるようです。参列する側は、葬儀の形態がどうなっているのかをしっかりと確認しましょう。
法要は、故人の冥福を祈るために行われる儀式で、初七日や四十九日が代表的です。
初七日は葬儀当日に繰り上げて行うことも一般的で、僧侶による読経や焼香を通じて故人の供養をします。四十九日法要は、遺族が一区切りを迎える重要な儀式で、この日に納骨を行うことが多いです。
北海道では、地域や宗派による風習が含まれる場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。
葬儀は、故人を偲び感謝の気持ちを伝える重要な場です。旭川市を含む北海道では、地域特有の習慣や一般的なマナーが融合した形で葬儀が執り行われます。喪主側では服装や挨拶、香典返しなどの細かな対応が求められ、参列者側でも服装や言葉遣い、香典の包み方などに注意が必要です。
また、納棺から通夜、葬儀・告別式、法要まで、各儀式での適切な振る舞いが大切です。本記事を参考に、故人や遺族への敬意を忘れず、心のこもった対応を心掛けましょう。
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