家族葬の知識
親が亡くなった際、葬儀を行わなくても問題はないのでしょうか?
「故人がエンディングノートに葬儀不要と書き記している」
「親には申し訳ないが葬儀費用が高すぎて難しい」
など、葬儀を行わない理由はいろいろとあるでしょう。
今回は「親の葬儀を行わないこと」についてさまざまな角度から考えてみます。
この記事でわかることは以下の4つです。
- ・親の葬儀を行わないことで法的な問題はある?
- ・故人が亡くなった際に必要な届出書類について
- ・親の葬儀をしないことのデメリットとは?
- ・一日葬や家族葬も視野に入れて考えてみる
親の葬儀をしない選択肢もある
結論から申し上げますと、親の葬儀をしなくても問題はありません。
葬儀をしないからといって法的に罰せられることはありませんし、あくまでも遺族の判断に委ねられます。
たとえば故人が葬儀を行わないことを希望していた場合や、何らかの理由で親と疎遠になっている場合、葬儀は不要と感じる方もいるでしょう。
葬儀を行う場合、準備から当日の弔問客の対応まで大変な労力を要しますし、費用面でも負担となるのは否めません。
以前は故人の会社関係の方や近所の方を呼んで盛大に行われる葬儀が一般的でしたが、80代・90代で亡くなる方の場合はそもそも参列者が少ないことも予想されます。
しかし葬儀を行わないことで親族から反対されることもあるでしょう。
「葬儀は行わない」と決定する前に、さまざまな角度から考える必要があります。
親が亡くなった際に行う届出一覧
葬儀の有無は自由ですが、故人が亡くなった際に必須の届出書類や手続きがあります。
故人の逝去後、5日~2週間以内に行わなければならない届出についてまとめました。
①死亡届(故人の死亡地または本籍地の市町村役場。届出人の居住地でも可)
故人が亡くなった際、まず提出しなければならないのが「死亡届」です。
死亡届を提出できるのは故人の親族や同居人のほか、家主や地主、後見人や保佐人などです。
病院で亡くなった場合は医師から「死亡診断書」が渡されますので、死亡届と共に提出してください。
死亡届を提出すると「火葬許可証」(自治体によって名称は異なります)が発行されますので大切に保管しましょう。
故人の火葬・埋葬をする際に必要な書類となります。
参照)死亡届 – 法務省
死亡届は故人が亡くなってから7日以内に提出しなければなりません。
ただし故人が海外に住んでおり、事実を知った日から3ヶ月以内であれば罰せられない決まりになっています。
正当な理由のないまま届出をしない場合、5万円以下の罰金刑が下される恐れがありますので気を付けてください。
死亡届を提出することで自動的に住民票も抹消されますが、ケースによっては「住民票抹消届」を提出する場合もあります。
②年金受給権者死亡届(年金事務所)
故人が年金受給者だった場合は年金受給の停止手続きが必要です。
厚生年金だった場合は10日、国民年金だった場合は14日以内に届出をしましょう。
ただし年金機構にマイナンバーの登録申請をしている場合、こちらの届け出は不要です。
「死亡届を出したのだから銀行口座も凍結されているはず」と勘違いする方も多いのですが、口座は銀行側が故人の死亡を把握した際に初めて凍結されるもの。
年金受給権死亡届を提出しないと翌月も年金が振り込まれてしまいますので、気を付けてくださいね。
振り込みが何ヶ月間か続くと不正受給とみなされ、逮捕される恐れもありますので早急に届出をしましょう。
③健康保険資格喪失届(故人の勤め先もしくは市区町村役場)
健康保険の資格喪失届も忘れずに提出してください。
故人が会社員だった場合は5日以内、国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合は14日以内に手続きが必要です。
故人が会社員の場合は会社側が手続きをしますので、訃報を早めに伝えておきましょう。
④後期高齢者医療制度の資格喪失届(市区町村役場)
故人が75歳以上だった場合は、後期高齢者医療制度の資格喪失届を提出します。
こちらも14日以内に届け出が必要です。
手続きの際は「後期高齢者資格喪失届」の提出と共に、「後期高齢者医療被保険者証」を持参して返却手続きをしてください。
⑤世帯主変更(市区町村役場)
住民票の世帯主変更も行う必要があります。
ただし、もともと夫婦2人で住んでいた場合は届出が不要。3人以上の世帯の場合のみ届出をしてください。
⑥介護保険の資格喪失届(市区町村役場)
故人が要介護・要支援の対象者だった場合は介護保険の資格喪失届を提出します。
介護・支援の対象外だった方は届出不要です。
ほかにも高額医療制度を利用していた場合は還付金の請求がありますし、申請期限が2年以内とされている「埋葬料」や「国民年金の死亡一時金」の請求もありますので、忘れずに行いましょう。
専門の相談員が回数無制限でサポートいたしますので、お気軽にご利用ください。
葬儀後の手続きについては以下の記事でも詳しくご説明しています。
【葬儀後の手続き一覧】優先順位ごとに身内が亡くなった際の手続きを解説
故人と同居していた場合は埋葬の義務も生じる
故人と同居していた場合は遺体を埋葬する義務も生じます。
遺体の火葬・埋葬は都道府県所定の施設で行いますが、火葬の際に「火葬許可証」の提出が必要。許可なく火葬・埋葬すると、法に触れることになります。
ちなみに同居していない場合、遺体の引き取り義務はありません。遺体の引き取りを拒否することも可能です。
その場合は故人の死亡地の市区町村が遺体を引き取り、火葬することになっています。
参照)墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)
ウィズハウスでは自己負担金ゼロで火葬のみが行える「福祉葬プラン」のご用意もございます。
自治体の葬祭扶助制度が利用できますので、興味のある方はご相談ください。
親の葬儀をしないことのデメリット3つ
葬儀を行わないことで精神面や体力面、また費用面についても負担が減るのは事実ですが、デメリットがあることも知っておかなければなりません。
ここでは3つのデメリットについてご説明します。
親の葬儀をしないデメリット①周囲の同意を得にくい
いくら故人の希望だったとはいえ、葬儀を行わずに事後報告となると周囲の同意を得られない可能性が高いでしょう。
特に親族や故人と親しくしていた友人などはショックを受けるかもしれません。
葬儀は「故人との最期の時間を過ごせる貴重な日」です。
「なんの相談もなく失礼だ」「ゆっくりお別れがしたいのにできなかった」
といったクレームがこないよう、各方面に事前に相談してみることをおすすめします。
葬儀は行わなかったものの「四十九日法要は行うべき」と親族に意見され、結局執り行ったというケースも見受けられます。
親の葬儀をしないデメリット②数カ月間は弔問客の対応に追われる
葬儀を行わないことで葬儀後の弔問客の対応が必要となります。
香典返しも都度用意しなければなりませんし、弔問客の個別対応はかなり骨の折れることです。
葬儀を行っていればその日だけで完結できたのに、と後悔する方もいらっしゃいます。
親の葬儀をしないデメリット③菩提寺がある場合、納骨を拒否される可能性がある
もし菩提寺がある場合、葬儀を行わないことで納骨を拒否される可能性もあります。
葬儀を行わないということは僧侶へお布施をお渡ししないことと同義です。
そうなると菩提寺にあるお墓に納骨できない可能性も出てきます。
葬儀を行わない場合は菩提寺にも確認が必要でしょう。(直葬や一日葬の場合も確認が必須です)
一日葬や家族葬の選択肢も考えてみる
もし「葬儀は大変そうだから行いたくない」という理由でお悩みなのであれば、一日葬や家族葬を選択するのも一つの方法です。
「葬儀はたくさんの人を呼ぶもの」という従来の形式は古いものになりつつあります。
一日葬や家族葬は一般的な葬儀を簡略化した形式で、近年大変人気のある葬儀スタイルです。
それぞれどういった葬儀なのかを簡単にご説明しましょう。
一日葬とは?
一日葬は通夜を省いた葬儀スタイルです。
一般的な葬儀では1日目に通夜、2日目に告別式から火葬までが行われますが、2日目だけを行うイメージですね。
通夜で僧侶にお渡しするお布施や、会葬者に振る舞う会食(通夜振る舞い)の費用を削減できるメリットもあります。
ただし翌日の告別式の会場を抑えるため、会場代は通常の葬儀と同じく必要になる可能性があります。
「通夜式を行う日に告別式をすればいいのでは?」という疑問をお持ちなる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし日本では逝去後24時間以内に火葬してはいけないという決まりがあります。
そのため丸一日はご遺体を安置する場所が必要となります。また祭壇や柩の費用も一般葬と同様にかかります。
一日葬については以下の記事でも詳しくお伝えしていますので、ご覧になってください。
「一日葬にかかる時間はどのくらい?流れや注意点、事例も紹介」
家族葬とは?
家族葬は同居している家族や親族など、ごく限られた方たちのみで執り行う葬儀のことです。
コロナ禍以降は特に人気の出てきている葬儀スタイルですね。
一般葬よりも参列者が少ないというだけで、「通夜→葬儀・告別式→火葬」という流れは変わりません。
(葬儀の規模によっては通夜や喪主の挨拶、会食などを省略する場合もあります)
ご遺族の希望に沿ったオリジナルプランが自由に組める点も家族葬が普及した理由のひとつでしょう。
葬儀を行わないことに多少抵抗のある方は、一日葬や家族葬といった葬儀スタイルを検討してみるのも良いのではないでしょうか?
親の葬儀を行わなかったことで後悔する方も多い
「葬儀を行わない」という決断をした方が、後に「やはりしておくべきだった」と後悔するケースも見受けられます。
葬儀を行うかどうかはご遺族の判断次第です。
故人が生前に「直葬にしてほしい」と希望されていたものの、やはりご遺族自身の心の区切りのために葬儀を行った喪家もいらっしゃいます。
葬儀を行っても行わなくても、どちらが正しいのか?ということは誰にも判断できません。
しかし故人の葬儀は一度きりです。
だからこそ後悔のないよう、しっかり考えておく必要があります。
葬儀のことなら経験豊富なウィズハウスへ
ウィズハウスは北海道札幌市を中心に家族葬を多く執り行っています。
これまでの斎場のイメージにとらわれない、ご自宅のようなやすらぎとホテルのような上質感がとけあう空間が、大変ご好評をいただいております。
ウィズハウスでは家族葬や一日葬のほか、自宅葬や火葬式・安置直葬などさまざまなプランがございます。
従来の葬儀に比べて費用も負担も少ない葬儀プランを多数ご用意しておりますので、ぜひ一度ご相談ください。
「親の葬儀をしない」と決められた場合でも、最低限のお見送りをできるプランのご提案も可能です。
ウィズハウスは故人様とご遺族様の大切な時間をサポートさせていただきます。
随時、内覧会も行っておりますので、来館の際にお悩みや疑問を気軽にスタッフへご相談ください。
お問い合わせ・資料請求はこちらから(資料請求にはエンディングノートの同封や葬儀割引特典も付与)
まとめ
- ・親の葬儀を行わなくても問題ないが、同居している場合は埋葬の義務が生じる
- ・葬儀を行わない場合でも「死亡届」や「年金受給権者死亡届」といった法的な書類の届け出は早急に行う
- ・親の葬儀を行わないデメリットとして「周囲の理解が得づらい」、「後日弔問客の対応に追われる」などがある
- ・葬儀を行わずに後日後悔するケースもあるため、「一日葬」や「家族葬」も検討してみる