喪主・関係者の知識
宗派を問わず、仏式の儀式に欠かせないろうそく。
当たり前のように使用しているろうそくですが、なぜ葬儀でお供えされるようになったのでしょうか?
今回は葬儀で使われるろうそくの意味や、火をつける際のマナーについてお伝えします。
記事の後半ではろうそくの保管方法のほか「電気ろうそくを使用するのは宗教上、問題ないのか?」という疑問についても触れています。
葬儀でお供えするろうそくの意味とは?
ろうそくは仏式の儀式において必要不可欠な存在です。
電気がなかった古において、ろうそくの炎は暗闇を照らす唯一の光でした。
ろうそくの炎には「故人が迷わずにあの世へいけるように」という道しるべの意味も含まれています。
邪気や穢れを祓い、周囲を浄めて(きよめて)くれる役割もあると考えられているろうそく。
特に仏式におけるろうそくの炎は「あの世とこの世を結ぶ」という重要な役割も担っています。
お参りする際のろうそくの火のつけ方・消し方マナー
「新しいろうそくの火はつけづらい」などと感じたことはないでしょうか?
ろうそくの火をつけやすくするコツと、火を消す際のマナーについてご説明します。
ろうそくの火のつけ方・再点火の仕方
ろうそくには先端に飛び出している芯糸がありますよね。
芯糸の根元のロウを最初に溶かしてあげることが、ろうそくの火をつけやすくするコツです。
火をつけるときは先端からつけがちですが、芯糸にロウが残っていると火が途中で立ち消えてしまうことがあります。
芯糸をしっかり出してから火をつけてみてください。
火をつける際はマッチや大型ライターを使うと良いでしょう。
またろうそくの火を途中で消した場合は、ろうそく上部に残っている液だまりや燃えカスを捨てることで再点火しやすくなります。
ろうそく液をそのままにしておくと芯が立ち消えてしまう可能性がありますので、小まめに処理してくださいね。
溶けたろうそくは可燃物として捨てる地域が多いようですが、詳しい分別方法は各自治体の指示に従ってください。
流しに捨ててしまうとロウが冷えて固まってしまい、詰まりの原因になりますのでやめましょう。
ろうそくの火の消し方
ろうそくを消す際の最大のタブーは「息で火を吹き消すこと」です。
仏教において人間の息は「不浄なもの」と位置づけられています。
ろうそくの火は「手であおぐ」もしくは「仏壇用の火消し(仏扇やろうそく消しなど)」を使って消しましょう。
手であおぐ場合は上から下へ、早く細かくあおいであげると消えやすくなります。
ろうそくの保管場所はどこがいい?
ろうそくは直射日光の当たらない冷暗所で保管するのがベストです。
裸のまま保管するのではなく、必ず箱に入れましょう。
ただし涼しい場所が良いからといって冷蔵庫へ入れてしまうのはNGです。
ろうそくは温度変化や湿気にとても弱い性質を持っています。
気温差がありすぎるとひび割れの原因になってしまうことも…。
また湿気の多い場所ではカビが生えてしまう可能性もありますので要注意です。
通夜でろうそくの火を絶やしてはいけない?「寝ずの番」について
地域によっては、お通夜が終わった夜から翌日の葬儀までろうそくを灯し続ける「寝ずの番」という風習があります。
遺族はろうそくが消えないよう見守りながら、祭壇のある部屋で一晩過ごします。
昔は「寝ずの番」をしなければならない理由がありました。
医療が未発達だったため死亡判断を誤り、亡くなったと思った故人が生き返った事例があったそうです。
そのため故人の遺体を一晩見守る必要があったのでしょう。
また先述したように「故人をあの世へ導く道しるべの役割」もあるろうそくは、一晩中灯し続けなければならないという宗教上の理由もあります。
しかし最近では「寝ずの番」を行う喪家は少なくなりつつあります。
核家族化なども要因の1つですが、一晩中ろうそくの火を灯すことは安全面でもあまりおすすめできません。
寝ずの番を行う場合は安全面や体力にしっかり配慮し、無理せずできる範囲で行うようにしましょう。
近年では電気ろうそくなどを上手に使って夜は就寝する喪家も多くいらっしゃいます。
電気ろうそくを葬儀・通夜で使うのは問題あり?
電気ろうそくを宗教上の儀式で使っても問題ありません。
「本当のろうそくじゃないと故人に失礼なのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、大丈夫です。
そもそも葬儀で使用するろうそくは、寺院や葬儀会社で用意することがほとんど。
遺族の方はあまり深く考える必要はありません。
もちろん遺族のご希望のろうそくがあればそちらを使うこともできます。
最近は花やお酒を模(かたど)ったデザインろうそくもたくさん市販されていますよ。
過去にウィズハウスで行われた家族葬でも、ご遺族が故人様のお好きであったビール型のろうそくをお持ちになり、お供えしたこともありました。
葬儀でお供えする「線香」「供花」の意味とは?
仏式葬儀の祭壇や仏壇など、仏様へのお供え物として線香やお花(供花)が必ず供えられます。
線香と供花にも、ろうそくのようにお供えする意味がそれぞれあります。
線香をお供えする意味
線香といえば香りや煙がたつもの。
仏教では故人や仏様の食べ物は「香り」であるとされています。(「香食(こうじき)」といいます)
故人が浄土へと向かう旅の途中で、お腹を空かせないようにと焚くのが線香です。
昔は遺体を保存するのが難しかったため、臭い消しの役割も担っていたといわれています。
線香はほかにも「仏の智慧と慈悲を煙と香りに乗せて人々に分け隔てなく届ける」という意味もあり、お供えされてきました。
心身を浄化させる役割もある線香は、ろうそくと同様に欠かせないお供え物のひとつです。
線香も電気ろうそくのように火を使わない「電気線香」があります。
また長時間燃焼する「渦巻き線香」も人気のタイプ。
電気線香の中には線香の香りがするタイプもありますよ。
線香については以下の記事も参考になさってください。
https://with-house.jp/wp/blog/2018/06/6042/
供花をお供えする意味
参列者が供える供花は「哀悼の意を示すため」という意味が大前提です。
ほかにも「故人の冥福を祈るため」や「故人への最後の贈り物」といった意味合いも含まれています。
また葬儀場をたくさんの花で飾ることで祭壇を華やかにし、遺族の悲しみを和らげてくれる役割も。
ウィズハウスのご葬儀でも、バラの好きだった故人のための祭壇作りをお手伝いしたことがあります。
またウィズハウスでは供花の注文も承っています。
注文用紙はいつでもダウンロード可能ですのでぜひご利用ください。
北海道の供花の相場については以下の記事でも詳しくお伝えしています。
https://with-house.jp/wp/blog/2019/05/6972/
まとめ
- ・ろうそくの火には「故人のあの世への道しるべ」や「穢れや不浄を浄化する」という意味合いがある
- ・ろうそくを消すときは息を吹きかけずに手であおいで消す
- ・「寝ずの番」は無理をしない範囲で行う。電気ろうそくや電気線香を使うのもアリ