葬儀の知識
葬儀の際はもちろん、毎日の仏壇へのお参りやお墓参りに欠かせない線香。
そもそもなぜお参りする際に線香をお供えするようになったのでしょうか?
今回は線香をあげる意味について解説していきます。
記事の後半では線香の種類やサイズ、選び方についてもご紹介します。
この記事でわかることは以下の4つです。
- ・線香をあげる意味とは
- ・線香の種類にはどんなものがあるのか
- ・線香のサイズや形状について
- ・線香の選び方
線香とは
線香とはお香の一種です。
アロマオイルや匂い袋は火をつけずに香りが立ちますが、線香は火をつけることによって香りを放ちます。
日常的に香りを楽しむために使われる「お香」と仏事用の「線香」は区別されているものの、原料や作り方などは基本的に同じ。
一般的なスティック状の線香は白檀などの香木を練り込んで乾燥させたものです。
葬儀では線香の代わりに焼香を行うことが多いですが、焼香も香の仲間です。
昔から線香は葬儀や法要において、なくてはならないお供え物でした。
仏式のお参りに欠かせないものを総称して「香華燈燭」と表すことがありますが、この「香」にあたるのが線香です。
「香華燈燭」の「華」は供花、「燈燭」はろうそくを指しています。
昔は煙がたくさん出る方が良いとされていた線香ですが、最近は住宅事情などもあり少煙タイプや電子タイプの人気が高まっています。
香りもフローラル系など自然派の香りも多く販売されており、個々の好みで選べるようになってきました。
線香をあげる意味
線香をあげる意味は諸説ありますが、主に以下にあげるものが理由とされてます。
- ①香食(こうじき)…仏様や故人へ供える食べ物として
- ②故人があの世へ向かう際の道しるべとして
- ③空間を浄めるため
- ④故人と心を通わせるための手段
昔から人は亡くなると、成仏するまでは「香り」を食べるとされていました。(線香の香りやお茶の湯気など)
そのため故人への供養の意味も込め線香を焚いたのです。
また遺体を保存しづらかった時代には、香を焚くことで匂いを軽減する役割も果たしていました。
通夜の後に行われる「寝ずの番」ではろうそく・線香を絶やさず燃やし続けます。
故人がお腹を空かせないように、あの世への道中で迷わぬように、という意味が込められています。
香とは「嗅ぐもの」ではなく「聞くもの」と表します。
故人との心の交流の役割も兼ねているからでしょうか。とても奥深いものが感じられますね。
線香の種類
香には火を使用するもの・しないもの・その他(間接的に熱を加えたりするもの)があります。
分類すると以下のようになります。
仏事用の線香は図の赤字で示されているものになります。
「線香」・「抹香」・「焼香」、そして「塗香(ずこう)」ですね。
塗香は密教系の寺院で多く使われるお香で、きめ細かいパウダー状になっています。
手や身体に少量擦り込むことで身を浄められることから「清め香」と呼ばれることも。
そして従来の「線香」はさらに「杉線香」と「匂い線香」の2種類に分けられます。
それぞれ詳しくご説明しましょう。
杉線香
煙が多めの昔ながらの線香が「杉線香」です。
その名の通り杉の葉っぱや枝を乾燥させて粉砕したものが主原料。
素朴な自然の香りが特徴で、お墓参りなど屋外で使用するのが一般的です。
匂い線香
「匂い線香」は、椨(たぶ)というクスノキ科の樹木が主原料の線香。
椨のほかに白檀などの香木や墨の粉末が調合されます。
「香木+椨」の組み合わせが基本の匂い線香は価格も高級なものが多くなりますが、椨の割合は高級品ほど少なくなります。
一般的に墨が調合されていると煙の少ない線香を作ることが可能。そのため屋内で使用する場合は匂い線香が一般的ですね。
また香りのレパートリーが広いのも匂い線香の特徴です。
白檀や伽羅・沈香などの香木を使った伝統的なタイプから、バラやラベンダーの香り、お菓子の香りなどもあります。
線香のサイズ・形状について
線香の種類は主に以下の5つに分けられます。
○スティック型
昔からあるオーソドックスな棒状タイプ。
最近は煙があまり出ない少煙タイプや消臭効果のあるタイプもあります。
○墓線香
屋外用の線香。
形状はスティック型と同様ですが、束になることで風に強く火が消えづらい作りになっています。
○コーン型
お灸のような形状をした線香。
短時間に強い香りが立ち上るのが特徴です。
スティック型より煙は多い傾向がありますが、灰を散らさないため人気があります。
○渦巻き型
蚊取り線香のような形状の線香。
長時間燃焼を目的に作られた線香で、12時間ほど燃焼し続けます。
玄関など空気の流れが大きくなる場所に置くのがおすすめ。
○電子線香
火を使わずにコンセントに差し込むだけで香りを放つ線香。
灰が落ちないためお部屋が汚れません。
電子ろうそくとセットで使う方も多くいらっしゃいます。
ちなみに線香の切り口には丸いタイプ(丸筋)と四角いタイプ(角筋)があります。
2つの違いは煙の昇り方ですね。
丸筋の方が煙が広がりやすく、各筋は上に向かってまとまりながら昇ります。
ただし風向きなど環境によっても左右されるため、そこまで明確な違いはありません。
線香のサイズ
スティック型の線香は、短寸から長尺まで長さがいろいろとあります。
それぞれの長さや燃焼時間・特徴について一覧にしましたのでご覧ください。
ミニタイプの線香は花の香からお菓子の香りまで種類豊富なのが特徴。
パッケージも可愛らしいものが多くあり、親しい方への贈り物にもおすすめです。
長寸や長尺は主に寺院で使われることの多い線香ですね。
お寺ではお経を唱えたり座禅を組んだりする時間を線香が燃え尽きるのを使って測っています。
線香の選び方
線香の選び方に厳密な決まりはありません。
香りについても伝統的な漢薬の香り、自分の好みの香り、故人が好きだった香り…お好きな香りを選んで問題ないでしょう。
線香の香りで人気があるのは、伝統的な伽羅や白壇の香りです。
伽羅や白檀は格式の高い線香として古くから使われてきました。
近年ではラベンダーや白梅、桜など花の香りがする線香や、コーヒーやフルーツ、お菓子の香りがする線香なども人気が出てきています。
故人の好きだった花やお菓子の香りがする線香をあげて、故人をゆっくり想う時間を作ってみてはいかがでしょうか。
お墓参りには煙の多い線香、自宅の仏壇用には煙の少ない線香と、煙の量で選ぶ方も多いですね。
ただし線香の立て方については宗派別で違いがあります。
たとえば天台宗は線香を逆三角形になるように3本立てますし、浄土真宗は1本の線香を2つに折って香炉に寝かせます。
宗派別の線香の立て方や焼香については以下の記事もご参照ください。
https://with-house.jp/wp/blog/2017/10/5385/
ウィズハウスではこのほかにも葬儀に関する豆知識を多数お伝えしています。
葬儀についての素朴な質問にお答えしていますので、お役立てくださいね。
また家族葬を検討している方はウィズハウスへ是非ご相談ください。
故人としっかり向き合い、親しい人と想いを分かち合う、おうちのようなお見送りをご提案いたします。
https://with-house.jp/wp/blog/2022/06/13365/
まとめ
- ・線香をあげる意味には諸説あるが、主な理由としては「故人や仏様の食事として」「故人との心の交流のため」などがある。
- ・煙の多くあがる「杉線香」はお墓参り用、香りの種類が多く煙の少ない「匂い線香」は屋内用で使われることが多い
- ・線香のサイズや形状はさまざま。従来のスティック型からお灸のようなコーン型、電子線香などもある
- ・線香の選び方に特別な決まりはない。好みの香りや故人の好きだった香りで選んでも問題ない