参列者の知識
「御愁傷様ってどんな場面で使うのが適切?」
「葬儀で御愁傷様と伝えるのは失礼にあたるって本当?」
故人の近親者に対するお悔やみの言葉として用いられるのが「御愁傷様」です。
しかし、近年は冷やかしや皮肉を込めた文脈に使用されるケースが増えてきた影響で「葬儀の場で使用するのは失礼」という意見が聞かれるようになりました。
葬儀へ参列するにあたって、ご愁傷様を使うべきか悩む方もいらっしゃるでしょう。
そこで、本記事では、御愁傷様の意味・正しい使い方・御愁傷様に替わる言葉を解説します。
葬儀に参列した際、適切なお悔やみの言葉を伝えたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
<この記事でわかること> ・御愁傷様の意味 ・御愁傷様の正しい使い方 ・メールやLINEでお悔やみを伝える方法 ・御愁傷様に替わるお悔やみの言葉 |
「御愁傷様」の意味
「御愁傷様(ごしゅうしょうさま)」は、葬儀の場で多用される一般的なお悔やみの言葉です。
「愁傷」は「心から人の死を悲しむ」ことを意味します。前後に「御・様」が付いているため、相手への敬意も込められています。
そのため、上司や目上の方はもちろん、親しい間柄に使用しても問題はありません。
ただし、御愁傷様に堅苦しい印象を持っている方もおり、特に親しい友達などの場合は、かえって皮肉に聞こえる可能性もあります。
相手との関係性や、イントネーションなどに注意して使うのが大切です。
「ご愁傷様です」が使ってはいけないと言われている
近年「御愁傷様を葬儀で使用してはいけない」といった意見を聞くようになりました。
なぜなら「今週末、仕事になっちゃったんだって?ご愁傷様」のように、皮肉をこめた文脈で使用されるようになったためです。
しかし、本来「御愁傷様」は相手を思いやる気持ちを表現した正しい日本語です。
そのため、葬儀で使用しても何ら問題はありません。
「御愁傷様」の正しい使い方
「御愁傷様です」は、大切な家族を亡くしたご遺族に対して使用します。
口頭でのみ使用する言葉なため、メール・手紙・弔電などには使用しません。葬儀場以外でも、ご遺族と直接お会いする機会があれば使用できます。
文例は以下のとおりです。
<一般的な文例> ・この度は誠に御愁傷様です。心よりお悔やみ申し上げます。 ・この度は御愁傷様でございました。〇〇様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 <親を亡くしたご遺族> ・この度はご愁傷様でございます。お母(父)様の訃報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。 <配偶者を亡くしたご遺族> ・この度は御愁傷様です。ご主人(奥様)とのお別れは、さぞ辛いことと胸中お察しいたします。 <子どもを亡くしたご遺族> ・この度は御愁傷様です。ご両親の心中を察するとお慰めの言葉も見つかりません。 <友人を亡くした喪主> ・この度はご愁傷様です。突然の訃報に接し、驚きと悲しみでいっぱいです。 |
お悔やみの言葉は簡潔に伝えましょう。
また、故人やご遺族と親しい間柄であっても敬語を使うのがマナーです。
どう伝えたらいいか迷ったときは「ご愁傷様でございます」だけでも気持ちは十分伝わります。
メール・LINEでお悔やみを伝える際の言葉
メールやLINEにて伝える場合、「御愁傷様です」は使用できません。話し言葉であり、口頭でしか使用できないためです。
また、誰に対してもメールやLINEを用いて良いわけではなく、本来は電話で伝えるのがマナーとされています。
以下の関係性であればメールやLINEで伝えても問題はありませんが、目上やご年配の方には電話を使用しましょう。
<メール・LINEで伝えても良い相手> ・親しい間柄 ・メールやLINEで訃報を送ってきた方 <電話を使用した方が良い相手> ・目上の方 ・ご年配の方 ・面識や関係性が薄い方 |
なお、メール・LINEで伝える際は、御愁傷様に替わり以下の言葉を使用します。
- ・お悔やみ申し上げます
- ・ご冥福をお祈りします
- ・悼の意を表します
- ・残念でなりません
意味や文例を見ていきましょう。
お悔やみ申し上げます
「死を悼む」「死を悲しむ」といった意味をもつ言葉です。
メールやLINEなどの文書だけでなく、お通夜や葬儀などでも口頭で使用できます。目上の人も含めて誰にでも使える汎用性の高い言葉です。
文章で伝える際の文例は以下のとおりです。
突然のことで、とても驚いています。謹んでお悔やみ申し上げます。 どうぞご自愛ください。 |
最後に「返信には及びません」と付けるのもよいでしょう。
ご冥福をお祈りします
「故人が死後の世界で幸せになれますように」といった意味があります。
文面だけでなく、お通夜や葬儀にて口頭でも使用可能です。故人やご遺族相手に使用します。
文例は以下のとおりです。
急な訃報で驚いています。大変なときに連絡をしてくれてありがとう。〇〇様(故人の名前)のご冥福をお祈りします。 |
ただし、四十九日法要以降は使用できません。仏教では、四十九日を過ぎると、故人は次の世界に辿り着くと考えられているためです。
哀悼の意を表します
故人の死を嘆き悲しんでいます、といった意味を持ちます。
文語のため、口頭では使用できません。主に弔電で使用されていますが、メール・LINEで使用してもよいとされています。
文例は以下のとおりです。
〇〇さんのご逝去に心より哀悼の意を表します。何か力になれることがあったら、いつでも連絡してください。 |
残念でなりません
故人の死を心残りに思う気持ちを表す言葉です。
口頭と文章の両方で使用できます。「残念でなりません」を単体で使用してもよいですし、これまで紹介した悔やみ言葉と併せて使うこともできます。
文例は以下のとおりです。
ご逝去の報に接し、残念でなりません。ご家族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。 |
お悔やみ言葉を伝える際の注意点
葬儀にてお悔やみ言葉を伝える際には、以下の点に注意しましょう。
- ・相手が皮肉と捉えないよう配慮する
- ・重ね言葉は使用しない
- ・忌み言葉は使用しない
- ・宗教・宗派によっては不適切になる言葉に配慮する
ひとつずつ解説します。
相手が皮肉と捉えないよう配慮する
お悔やみ言葉は、それぞれの言葉の意味を理解し、適切に使用する必要があります。
特に「御愁傷様」は相手によっては冷やかしや皮肉に感じる可能性のある言葉です。相手との関係性も考慮しておやくみ言葉を選びましょう。
どの言葉を使用するべきか判断できない場合は「お悔やみ申し上げます」を使用するのが無難です。
重ね言葉は使用しない
重ね言葉とは、以下箇条書きのように、同じ音が重なる言葉を指します。日常場面で使用する分には問題ありませんが、葬儀の場では「不幸が重なる」を意味し、縁起が悪いとされています。
- ・いろいろ
- ・さまざま
- ・またまた
- ・たびたび
- ・次々…
お悔やみを伝えるだけでなく、弔電の文章でも避けるべき言葉です。
【関連記事】葬式でのNGワードにご注意!使ってはいけない「忌み言葉」とは?
忌み言葉は使用しない
忌み言葉(いみことば)とは、不吉や不幸を連想させる言葉や、直接的な表現を指します。
以下表で紹介する言い回しや単語が該当します。
代表的な忌み言葉 | |
不吉を連想する言葉 | ・落ちる ・消える ・浮かばれない ・数字の「4(死)」と「9(苦)」 |
不幸の連続を連想する言葉 | ・続いて ・追って ・再び |
直接的な表現 | ・生きていたころ ・死ぬ ・急死 |
重ね言葉と同じように、お悔やみの言葉と一緒に使うのは避けるべきと言われています。
宗教・宗派によっては不適切になる言葉に配慮する
仏式の葬儀では適切でも宗教が変われば不適切になる言葉が存在します。
代表的なのが以下の2つです。
- ・ご冥福をお祈りします
- ・お悔やみ申し上げます
「冥福」は仏教用語のため、神道やキリスト教の葬儀では使用できません。
また、キリスト教では死を悔やむ表現を避けるべきとされているため「お悔やみ申し上げます」の使用もNGです。
神道やキリスト教では、以下の言葉を使用します。
<神道> ・御霊(みたま)が安らかであることをお祈り申し上げます <キリスト教> ・〇〇様が安らかなお眠りにつかれますようお祈り申し上げます |
なお、同じ仏教であっても浄土真宗の場合は教義の違いにより「ご冥福」を使用できません。参列する際は「お悔やみ申し上げます」を使用するとよいでしょう。
「御愁傷様です」と言われた際の返答
ご遺族の立場で「御愁傷様です」と言葉をいただいたときの返答として代表的なのが、以下の3つです。
- ・ありがとうございます
- ・恐れ入ります
- ・痛み入ります
「ありがとうございます」「恐れ入ります」は、誰に対しても使用できる汎用性が高い言葉です。「痛み入ります」は、よりかしこまった返答です。
最後に「生前は〇〇がお世話になりました」と付け加えると、より気持ちが伝わります。
言葉遣い以外で配慮すること
葬儀に参列する際は、言葉遣い以外にも以下の点に注意しましょう。
- ・励ましの言葉は言わない
- ・故人の死因を尋ねない
ひとつずつ解説します。
励ましの言葉は言わない
ご遺族に対して「早く元気になってね」「頑張ってね」など、励ましの言葉をかけるのは控えましょう。負担やプレッシャーになる可能性があります。
大切な方を亡くし、悲しみの渦中にあるご遺族の気持ちに寄り添った言動を心がけましょう。
故人の死因を尋ねない
故人の死因を尋ねるのは御法度とされています。自死や突然死などの場合、ご遺族が知られたくないと思っている可能性があるためです。
興味本意で聞いたばかりに、ご遺族の心を傷つけてしまう可能性もあります。葬儀に参列した際は、死因に触れず悔やみの言葉を伝えるだけに留めましょう。
まとめ:御愁傷様はご遺族にかける言葉として適切
「御愁傷様です」は、葬儀の場で多用される一般的なお悔やみの言葉です。目上の方から親しい間柄まで、相手との関係性を気にせず使用できます。
近年は「葬儀で使用するのは失礼」といった意見も聞かれるようになりましたが、まったく問題はありません。
どうしても使用するのが不安な場合は、「お悔やみ申し上げます」と伝えるのもよいでしょう。
いずれを使用するにせよ、大切なのはご遺族を思いやり、逝去に対して悔やまれる気持ちを伝えることです。
コープの家族葬ウィズハウスでは、葬儀に関する様々なご相談を無料で承りますので、いつでもお気軽にご相談ください。