葬儀の知識
創価学会の「友人葬」に参列したことはありますか?
ウィズハウスでも数多くの友人葬のお手伝いをしておりますが、仏式とは違った独自の儀式もある葬儀です。
今回は創価学会の友人葬について解説します。
「初めて友人葬という葬儀を知った」、「これから友人葬に参列するんだけどちょっと不安…」
という方は、ぜひこの記事を読んで参考になさってください。
今回ご説明する項目は以下の4つです。
- ・創価学会の友人葬とはどんな葬儀?
- ・友人葬の流れ
- ・友人葬に香典は必要なのか?
- ・友人葬のマナーQ&A(服装や香典、NGマナーについて)
創価学会とは?
創価学会とは日蓮大聖人の仏法を信奉する宗教団体です。
2021年時点で192の国と地域に広まっており、海外にも280万人の信者がいるといわれています。
日本の法華経系の在家仏教(日蓮宗から分派した新興宗教)の中ではかなり大規模な宗教団体といえるでしょう。
創価学会の歴史は1930年(昭和5年)に「創価教育学会」を設立したところから始まっています。その際、教育理論擁立のため「日蓮正宗」の信仰の一部をとり入れました。
以降、信仰を中心とする団体に発展し、1952年(昭和27年)に宗教法人の資格を取得しています。
釈尊が悟った生命尊厳の確立に基づき、「万人の幸福」と「世界の平和」を目指すのが創価学会の基本理念です。
創価学会の行う「友人葬」について
創価学会の「友人葬」とはどのような葬儀なのでしょうか?
「家族葬」に近い形と「一般葬」に近い形がある
「友人葬」とは創価学会独自の呼び方の葬儀の一種です。
基本的に遺族や友人の参列が中心となるため、家族葬に近い葬儀スタイルといえるでしょう。
通常のお葬式では葬儀会社のスタッフが進行を務めますが、友人葬の進行役は「導師」が務めます。
導師は友人代表である「儀典長(ぎてんちょう)」や、学会幹部の「儀典部(ぎてんぶ)」が行うことが多いですね。
ウィズハウスがお手伝いする友人葬でも家族の方が導師をされるケースが見受けられます。
しかし喪家によっては創価学会でつながりのある方が多く参列するケースもあり、この場合は一般葬に近い形となります。
参列者全員で唱える「南無妙法蓮華経」の題目が特徴的
友人葬では法華経の「方便品(ほうべんぽん)」と「寿量品の自我偈(じゅりょうほんのじがげ)」を読み、参列者全員で「南無妙法蓮華経」の題目を唱えます。
「方便品」と「寿量品の自我偈」とは法華経の中で最も大切な法理が説かれている章のこと。
「寿量品の自我偈」は二十八の章からなる法華経の「魂」であり「仏法の真髄」であるとされています。
一般的な葬儀では故人に成仏してもらうためにお経を唱えますが、友人葬では「まごころ」からの追善供養をするため全員で題目を唱えます。
創価学会における成仏は、あくまでも「故人の生前の信仰心」によるものと考えられています。
初めて友人葬を経験する会葬者の中には「友人葬は怖い」、「友人葬は不気味で異様だ」といった声を耳にすることがあります。
理由として創価学会信者の方の参列が多く、導師と一緒に読経やお題目をとなえ大きな合唱のようになることが要因のひとつといえるでしょう。
僧侶・戒名は不要。香典のやり取りも基本的にない
友人葬では僧侶を呼ばず、故人に戒名もつけられません。僧侶を呼ばないためお布施や戒名料が不要な点も友人葬の特徴です。
また基本的に香典のやりとりもないため、香典返しも必要ありません。
友人葬にかかる費用は15万~30万円前後が相場とされており、一般的な葬儀よりも費用が抑えられる傾向ですが、通夜や葬儀も行う場合は別途70万円前後の費用が必要となります。
また納骨費用については納骨場所によってバラつきがあります。墓地公園なら100万円、納骨堂であれば20万~30万円ほどが相場でしょう。
友人葬の祭壇は「お樒(おしきみ)」が中心?
15年ほど前の札幌近郊では、祭壇に「お樒(おしきみ)」が多く使われていました。
お客様の中にはお花は入れずすべてお樒にするよう希望される方も多くいらっしゃいました。
近年はご本尊の近くにお樒があれば良いとされていますが、実際の祭壇では菊や洋花を中心として一部お樒を織り交ぜる祭壇が一般的となっております。
全国的にみると「お樒祭壇」か「生け花祭壇」の2つに分かれるようです。
友人葬の流れ
友人葬の大まかな流れについて見ていきましょう。
友人葬の流れ
①開式の辞
司会より開式の辞が述べられます。
②読経・唱題
「読経」とは法華経の「方便品」と「寿量品の自我偈」を読誦すること。「唱題」は「南無妙法蓮華経」の題目を唱えることです。「寿量品の自我偈」は2回読誦します。
③焼香
「方便品」が終わり、1回目の「寿量品の自我偈」が始まったタイミングで焼香を行います。
④御祈念文・お題目三唱
焼香が終わると導師が唱題終了の鈴を打ち、続いて追善供養の祈念を行います。
祈念が終了すると導師の鈴に合わせて参列者全員で「南無妙法蓮華経」の題目を唱えます。
⑤弔電紹介
弔電の読み上げ。故人を悼んだ気持ちをまとめた「弔慰文」が紹介されることもあります。
⑥導師挨拶
導師より挨拶があります。
⑦遺族代表の謝辞
喪主、もしくは遺族代表が謝辞を述べます。
⑧閉式の辞
司会より閉式の辞が述べられます。
⑨お別れの儀式・出棺
参列者が柩にお樒を供えていく儀式が行われます。その後、喪主からの挨拶があり出棺となります。
地域によって多少変わってきますが、友人葬の大体の流れは上記のようになります。
導師・副導師は会葬者席の最前列に待機して「開式の辞」のあとに所定の席へ座るため、「導師の入場・退場」はありません。
出棺前の親族のお別れの際にも導師はそばでお題目を唱えます。
なお故人の柩にお別れする際、お樒以外にお花も多少使用します。
創価学会の友人葬に香典は必要?
友人葬では「儀礼的な意味での香典」は必要ないとされています。
創価学会では「まごころからの追善供養」を重要視していますので、一般的な仏式の葬儀とは価値観が異なります。
ただし親しい方の葬儀で、気持ちだけお渡ししたい場合は香典を持参しても失礼には当たりません。
仏式の香典袋を使用し、金額についても一般葬の相場と同等の金額を持参しましょう。
遺族側も「受け取ってはいけない」という決まりはないため、香典をいただいても問題ありません。
もし香典を受け取った場合も香典返しは不要です。
札幌とその近郊での友人葬に於いては「香典辞退」は極端に少ないようです。
創価学会の友人葬に参列する際のマナーQ&A
初めて友人葬に参列する場合、わからないことが多くて不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
よくある質問についてお答えしますので参考になさってください。
Q1.友人葬に参列する際の服装は?
A.服装や持ち物については一般的な葬儀と変わりありません。
遺族も会葬者も喪服が基本。華美な服装やアクセサリーは避けてください。
また殺生を連想させる皮のバック・靴・ベルトなどは身につけないよう注意しましょう。
創価学会の信者であれば「念珠」を持参しますが、信者以外の方は仏式の数珠で問題ありません。
喪服については以下の記事でも詳しくお伝えしています。
「家族葬での服装マナーとは?親族側・参列者側それぞれの服装を説明」
Q2.友人葬での焼香のやり方は?
A.友人葬では焼香箱(抹香)を主に使用します。焼香の手順は以下の通りです。
- 焼香の手順
- ①親族へ一礼する
- ②香を額におしいただいてから香炉にくべる動作を3回行う
- ③親族へ一礼して自席へ戻る
焼香は導師→副導師→親族→参列者の順に行います。
式以外のお参りでは創価学会専用の長細い黒い香炉に「お線香」を寝かせます。円形の香炉が置いてある場合も同様に寝かせるのがマナーです。
ちなみに創価学会の仏具は赤色や朱色を使用しません。使用するリンや棒は白および黒色で、香炉も黒色または濃い木目タイプが使用されます。
Q3.題目が唱えられないときはどうすればいい?
A.唱えなくても大丈夫です。
ただし「南無妙法蓮華経」の読誦は式の途中に何回か行われますので、慣れてきたら小さい声でもいいので唱えてみても良いでしょう。
Q4.友人葬にお花を送ってもいいの?
A.問題ありません。
以前は会場に送る花といえばお樒だけのものが目立ちましたが、近年の札幌を含めた近郊では一般的な菊や洋花を送られる方がほとんどです。
葬儀社で用意されているカタログなどからお好きなお花を選んでも問題ありませんよ。
ウィズハウスではネットでも供花のご注文を承っておりますので、ぜひご利用ください。
Q5.友人葬でやってはいけないことはある?
A.ご本尊の写真を撮影するのはNGです。
創価学会ではご本尊を非常に大切にされています。
創価学会のご本尊は日蓮大聖人が現した「南無妙法蓮華経」の文字曼荼羅。(祭壇上部に掛けられている掛け軸)
会場内を撮影する際もご本尊にレンズが向かないよう、最大限の配慮が必要です。
ウィズハウスでは通夜後に集合写真を撮影する際、ご本尊が入っている逗子(ずし)の扉を閉じています。
もちろんご本尊に触れることもタブー。
ウィズハウススタッフは高所にご本尊を掛ける際、白い手袋でご本尊を取り扱い、息がかからないようお樒の葉を1枚口にくわえて取り扱っております。
スタッフ一同、ご遺族がご本尊を大切にしておられることを周知していますので、万が一にも落としたり引っ掛けたりはできません。
そのため、ご本尊を取り扱う際はとても緊張が走ります。
まとめ
- ・創価学会とは日蓮大聖人の仏法を信奉する大規模な宗教団体
- ・「友人葬」では法華経の「方便品(ほうべんぽん)」と「寿量品の自我偈(じゅりょうひんのじがげ」を読誦する。また参列者全員で「南無妙法蓮華経」の題目を唱和する
- ・友人葬では基本的に僧侶・戒名・香典が不要
- ・友人葬に参列する際は喪服が基本。供花を送っても問題はない