仏壇・仏具について
新しく仏壇を購入する場合、何を基準に選べば良いのでしょうか?
仏壇を購入する機会はそう何度も訪れるものではありませんよね。
そこで今回は仏壇選びで失敗しないためのポイントをまとめてみました。
「そもそも仏壇にはどんな種類があるの?」
「浄土真宗だと選ぶ仏壇が決まっているって本当?」
といった仏壇にまつわる疑問についてもお答えします。
この記事でわかることは以下の5つです。
- ・仏壇を購入する前に確認すべきこと
- ・仏壇の種類と価格相場について
- ・浄土真宗は金仏壇?
- ・仏壇を置いてはいけない場所とは
- ・安心して仏壇を購入するためのチェックポイント
仏壇を選ぶ前に確認すべきこととは?
仏壇を選ぶ前に確認しておくべきことが2つあります。
「宗派の確認」と「仏壇サイズの確認」です。
①菩提寺があれば宗派の確認
菩提寺がある場合はまず宗派の確認をしておきましょう。
仏壇の正面に安置するご本尊や、その左右にある脇掛(わきがけ)は宗派によってそれぞれ異なります。
たとえば浄土真宗・大谷派のご本尊は阿弥陀如来、左の脇仏に十字名号、右の枠仏に九字名号を祀ります。
曹洞宗ならご本尊は釈迦牟尼如来、脇仏は常済大師、枠仏に承陽大師が祀られます。
宗派や菩提寺については、仏壇購入時に販売店へしっかり伝えなくてはなりません。
仏壇店に聞いてもわかりませんので事前に確認しておいてくださいね。
②「床置き型(台付き型)」と「上置き型」のどちらにするか
店頭やネットで見て良いなと思ったのに、実際に部屋に入れてみたら仏壇が大きすぎた…。
このような事態は絶対に避けなければなりません。
仏壇をサイズ別で分類すると、主に「床置き型」と「上置き型」の2種類になります。
床置き型は「台付き型」とも呼ばれており、下部に引き出しなどの収納部分が付いているタイプ。
幅45~55cm・奥行き35~45cm・高さ120~170cmくらいが平均サイズです。
上置き型はタンスやカウンターの上に乗せる小型タイプになります。
幅や奥行きは台付き型と同じか少し小ぶりで、高さが30~60cm前後になるでしょう。
台付き型も上置き型も扉を開くと15~20cmほど幅が広がります。
扉を開いたままにするのであれば、幅の表記サイズの1.5倍くらいを目安にスペースを確保してください。
ショップによっては部屋に仏壇を置いた画像を合成してくれたり、実寸大のタペストリーの貸出しサービスを提供しているところもあります。
サービスを上手に活用してどちらの仏壇タイプが良いかを考えましょう。
仏壇の種類は主に4つ・特徴や価格相場を解説
仏壇の種類は「唐木仏壇」・「モダン仏壇」・「金仏壇」・「パーソナル仏壇やミニ仏壇」の主に4種類に分かれます。
それぞれの仏壇の特徴や価格相場についてご紹介します。
①唐木仏壇
唐木仏壇とは、中国が「唐」だった時代に日本が輸入した木材で作った仏壇を意味しています。
唐木仏壇を作る際の木材は黒檀(こくたん)や紫檀(したん)、鉄刀木(たがやさん)などが主流ですが、すべて外国産です。
しかし今日では日本産の欅や屋久杉を使用している場合も多く、輸入木材以外で作られた仏壇も「唐木仏壇」と呼んでいます。
唐木仏壇の価格相場は70万~110万円ほどですが、「本黒檀」や「本紫檀」の仏壇では1000万円を超えることも。
上置き型の「ミニ唐木仏壇」の価格相場は10万~30万円ほどでしょう。
唐木仏壇で使われる木材の中でも最高級の品質を持っているのが黒檀です。
硬度が高く耐久性に優れ、虫や菌にも強い材質。黒く重厚感のある見た目も黒檀の魅力でしょう。
紫檀も黒檀と同様に最高級品と謳われており、正倉院の唐木細工にも使われるほど古来から珍重されてきました。
耐久性はもちろんのこと、赤みを帯びた木肌で木目も美しいことから人気のある木材です。
鉄刀木はその名の通り重くて固いという特徴を持つ木材。
黒檀や紫檀よりも少し柔らかめですが耐久性は申し分ありません。
美しい斑模様も目を引く木材です。
仏壇の価格は「〇万円~〇万円」と結構幅がありますよね。
値段に幅があるのは使われている木材の量に関係しています。
一番高級なものが「総無垢」。木材をそのまま使用して作られるので値段もかなり高額になります。
続いて高級なのが「無垢厚板張り」で、芯材の上に6㎜ほどの無垢材を張る工法で作られたものです。
「突板張り」は芯材の上に0.2mmくらいの無垢材を張る工法。
「無垢厚板張り」よりも薄手のため、価格もお手頃になってきますね。
「黒檀調プリント」や「紫檀調プリント」といった仏壇は、芯材に唐木の木目を転写したものになります。
また最近では中国産の唐木仏壇も量産されており、リーズナブルな価格で流通しています。
しかし仏壇は長年使われるもの。
使用する木材量が少なすぎたり、仕上げを簡易的なものにすればもちろん傷もつきやすくなります。
そのあたりも考慮して仏壇を選んでいきましょう。
②モダン仏壇
現代の住宅事情に即した、デザイン性の高い仏壇の総称がモダン仏壇です。
価格相場は5万~10万円で、大型のものですと50万円ほどで購入できます。
唐木仏壇や金仏壇と比較すると割とリーズナブルな価格設定ですね。
洋間やリビングに置いても違和感がなく、扉を閉めると仏壇だとは分からないようなデザインも多くあります。
またカラーバリエーションが豊富なのもモダン仏壇の魅力。
ブラウン系の色調が主流ですが、黒やワインレッド、ホワイトなどもあります。
リビングに仏壇を置きたいという方にはモダン仏壇がおすすめです。
モダン仏壇については以下の記事に詳細が載っていますのでご覧ください。
https://with-house.jp/wp/blog/2018/06/6049/
③金仏壇(塗り仏壇)
杉や檜などの白木を素材として、全体に黒の漆塗りを施した仏壇が金仏壇です。
漆を塗った仏壇ということで「塗り仏壇」と呼ばれることもあります。
随所に彫刻や蒔絵が施され、仏壇の内側は金箔や金粉で豪華絢爛に仕上げられているのが特徴。
価格は80万円~150万円ほどですが、素材の種類や施されている漆・金箔の質によって大きく変わります。
高額なものになると1000万円を超えることもあります。
また金仏壇は見た目のきらびやかさもさることながら、仕上がるまでの工程の多さも特徴のひとつ。
「木地→塗り→下地→蒔絵→金箔押し→彫刻→錺金具(かざりかなぐ)→彩色」というように、実にたくさんの職人の手によって作り上げられます。
表面の仕上げも「漆仕上げ」や「カシュー漆」、「セルロースラッカー仕上げ」などさまざま。
「漆仕上げ」が最も高級な仕上がりで見た目のツヤ・耐久性は抜群です。
カシュー漆も通常の漆と性質はほとんど変わらず、漆よりも低価格でしかも乾燥が早い点は魅力でしょう。
そのほかにセルロースラッカー仕上げやウレタン仕上げなどもあります。
④パーソナル仏壇・ミニ仏壇
「パーソナル仏壇」や「ミニ仏壇」は形式にとらわれない小型の仏壇です。
幅や高さ、奥行きがそれぞれ30cmほどしかないためスペースをほとんど必要としません。
インテリアのようにさりげなく置くことのできる仏壇タイプになります。
パーソナル仏壇の価格相場は8万~15万円くらい、ミニ仏壇は2万~10万円くらいでしょう。
「仏壇を置くスペースがあまりない」という方や「費用はなるべく抑えたい」という方におすすめの仏壇です。
置き型だけではなく、壁掛け型や壁埋め込み型(新築時)、キャスター付きの移動型などお部屋に適したタイプが選べます。
ウィズハウスと同グループの「供養ギャラリー リ・ノイ」では、伝統的な唐木仏壇からモダン仏壇、パーソナル仏壇までさまざまなタイプの仏壇を取り扱っております。
よろしければご覧になってみてください。
仏壇を選ぶ際のサイズ表記にも注意
仏壇には「号」や「尺」、「代」といった独特のサイズ表記があります。
「号」は上置き型の仏壇でよく使われる表記
「号」は基本的に上置き型仏壇で使われるサイズ表記ですが、基本的に「高さ」を表しています。
1号は約3cmですので、たとえば「18号」であれば54cmくらいの高さになるということですね。
上置き型の仏壇には「13×18号」といった表記がされている場合もあります。
これは「幅×高さ」を表しており、「幅39cm×高さ54cm」くらいのサイズということです。
号数はあくまでも高さのみを表しているため、同じ号数でも幅や奥行きが違う場合もある点は注意しなければなりません。
「尺」は台付き型仏壇でよく使われる表記
「尺」は台付き型仏壇でよく使われるサイズ表記で、1尺は約30cmです。
しかし最近は台付き型仏壇のサイズも上置き型と同様に「号」で表すことが多くなりました。
たとえば「47-16号」は「高さ×戸幅(扉を閉めたときの幅)」を表し、「高さ142cm×戸幅50cm」というサイズになります。
サイズが「号」や「尺」になるとややこしいですが、基本的に表記サイズに「3」を掛けるとcm単位がわかりやすくなります。
「代」は金仏壇でよく使われる表記
「代」とは、金仏壇において掛け軸を3枚掛けることを前提としたサイズ表記となります。
金仏壇も最近は「号」で表されることが多いようです。
ちなみに30代は「高さ131cm×幅66cm×奥行き50cm」、100代ですと「高さ173cm×幅85cm×奥行き70cm」となります。
数字が高くなるほどサイズが大きくなりますが、必ずしも数字は比例していないため「代」で表記されている場合はきちんとサイズ確認しましょう。
浄土真宗は必ず金仏壇なのか?
結論から申しますと浄土真宗の方でも唐木仏壇やモダン仏壇を購入する方は多くいらっしゃいます。
浄土真宗だからといって必ずしも金仏壇を購入する必要はないでしょう。
逆に他宗派の方で金仏壇を購入する方もおられますし、わりと自由な風潮になってきています。
そもそもなぜ浄土真宗は金仏壇なのでしょうか?
それは真宗を広めた蓮如上人が、門徒たちに「各家庭で仏壇を持つように」と説いたためです。
このとき門徒たちが使用した仏壇が現在の金仏壇の原型といわれています。
さらにその後キリシタン禁止令が出ました。
キリシタンでないことを証明するために各家庭に仏壇が普及していったようですが、この時の仏壇は金仏壇ではなく唐木仏壇のような装飾のないタイプがほとんどでした。
「浄土真宗=金仏壇」、「浄土真宗以外=唐木やモダン仏壇」の流れは日本の歴史の名残だといえるでしょう。
浄土真宗については以下の記事もご参照ください。
https://with-house.jp/wp/blog/2019/04/6885/
仏壇を置いてはいけない方角・部屋について
「仏壇を置く場所は必ず仏間でなければいけない」というようなルールはありません。
置く場所のルールは特にありませんが、避けた方が良い場所は以下のような条件の場所です。
- ・直射日光やエアコン・暖房器具の風が当たりやすいところ・湿気の多いところ(仏壇は木製なので傷みやすい)
- ・仏壇を見下ろす位置になってしまうところ(立って拝む場合は胸より上、座って拝む場合は目線より上が目安)
- ・床の間の向かいになる位置・部屋(床の間は上座とされているため)
- ・神棚の向かいになる位置・部屋(お参りするときにどちらかに背を向けてしまうため)
- ・神棚の真下(どちらにお参りしているのかわかりづらいため)
仏壇を置く方角については「西方浄土説(西に極楽があるとされている)」や「南面北座説(曹洞宗や臨済宗は仏壇を南側に設置することが多い)」などいろいろな意見があります。
東は太陽が昇るから東側に置く、という方もいますよ。
方角はそこまで神経質にならなくても良いのではないでしょうか。
ただし宗派によっては仏壇を置く方角が決められている場合もあります。
仏壇を安心して購入できるチェックポイントとは?
ネットでも手軽に仏壇を購入できるようになりましたが、安心して購入するためのチェックポイントについてお伝えします。
仏壇公正取引協議会のステッカーが貼ってあるか確認
仏壇公正取引協議会とは仏壇業界の団体です。
仏壇の品質表示や原産国表示のルールを決め、消費者が安心して購入できるための取り組みをしています。
業界で話し合いをして決定される表示ルールは、公正取引委員会と消費者庁が認めたもの。
仏壇の品質や原産国表示で不明合点があれば問い合わせも可能です。
仏壇公正取引協議会に加盟している店舗には会員マークや店頭ステッカーが貼ってあります。
仏事コーディネーターの在籍する店舗で購入する
仏事コーディネーターとは仏教用具全般だけでなく、法要なども含めた仏事全般の知識を習得した資格保持者です。
この資格は全日本宗教用具協同組合(全宗教)に加盟している組合員だけが受験できます。
仏壇購入以外でも相談したいことのある方は、仏事コーディネーターの在籍する販売店を探してみるのも良いのではないでしょうか。
アフターフォローについても確認
販売店によっては仏壇の修理保証を無料で請け負う店舗もあります。
購入した仏壇の価格によって保証期間が変わる店舗もあれば、購入した仏壇すべてが10年保証の対象になる店舗もあります。
仏壇を購入する際は価格だけでなく、こうしたアフターフォロー体制もしっかり確認しておきましょう。
まとめ
・仏壇を購入する前に「菩提寺へ宗派の確認」と「仏壇のサイズ感を把握」を確認する
・仏壇は「唐木仏壇」・「モダン仏壇」・「金仏壇」・「パーソナル仏壇やミニ仏壇」の主に4つがある
・仏壇を置く場所の幅は表記サイズの1.5倍を目安に考えておく
・仏壇は木製のため風通しの良いところに置くのがベスト。神棚と向かい合う・上下になる位置も避ける
・購入する際は「仏壇公正取引協議会に加盟しているか」「アフターフォロー体制はどうか」などを確認する
家族葬を検討している方はウィズハウスへぜひご相談ください。
故人としっかり向き合い、親しい人と想いを分かち合う、おうちのようなお見送りをご提案いたします。