家族葬の知識
宗教によって葬儀の形式は当然異なるもの。
仏教・神道・キリスト教など、宗教ごとに葬儀のマナーや作法はそれぞれ変わります。
今回は葬儀の中でもなじみの薄い、キリスト教葬儀についてのお話です。
もしキリスト教葬儀に参列することになった場合、
「キリスト教葬儀の流れや作法がわからない…」
「キリスト教葬儀には何を着て行けばいい?」
といった疑問を持つ方が多いのではないでしょうか?
これからキリスト教葬儀に参列する方はもちろん、仏式の葬儀にしか参列したことがない方もぜひ参考にご覧ください。
この記事でわかることは以下の5つです。
- ・キリスト教の死生観について
- ・カトリック・プロテスタントそれぞれの葬儀の流れ
- ・キリスト教葬儀におけるマナーとは?
- ・「御花料」とはどういうもの?
- ・キリスト教形式で家族葬はできるのか
キリスト教における「死」とは
キリスト教において故人の「死」は不幸なことではなく、「復活」へ向けた始まりとされています。
死によって肉体は滅びますが、「復活の日まで神のもとで過ごす永遠の命を手に入れた」と解釈されます。
仏教の葬儀では故人の成仏を祈ることを目的としていますので、そもそもの死生観が異なることがお分かりいただけるでしょう。
キリスト教葬儀では故人が仕える「神」に対して祈りを捧げ、大切な人をなくした遺族を慰めるための儀式となります。
カトリックとプロテスタント、それぞれの葬儀全体の流れ
日本において有名なキリスト教の教派は「カトリック」と「プロテスタント(ルーテル)」です。
カトリックはローマ法王をトップに据えたヒエラルキーのある教派。
教会も装飾が豪華で伝統の儀式を重んじているのが特徴です。
カトリック教は、犯してしまった罪を懺悔で神に告白することで償われるという考え方。
葬儀は「ミサ」と呼ばれており、永遠の命を手に入れるための儀式とされています。
対してプロテスタントは、キリストへの信仰心のみによって救われると定義している教派です。
カトリックのようなヒエラルキーはなく、「人はもともと罪を背負っている」という考え方のため懺悔もありません。
聖書を最も重んじているのも特徴で、教会は十字架のみのシンプルな作りが多いでしょう。
カトリック葬儀の流れ
まずはカトリック葬儀(ミサ)の流れから見ていきます。
カトリック葬儀における宗教者は神父です。
臨終時の儀式である「病者の終油の秘跡」は危篤の病人を救う儀式のことですが、こちらも神父が行います。
「聖体拝領」の「聖体」とはパンを指し、故人にパンとぶどう酒を与えることで復活が保証されます。
臨終時にカトリックの特徴的な儀式が行われますが、通夜から葬儀・告別式の流れは仏式と似ている点もあります。
そのほかに聖書を朗読する「言葉の典礼」や、故人の永遠の命を祈る儀式である「感謝の典礼」、「献花」なども行われるのが一般的でしょう。
またカトリックの場合は讃美歌のことを「聖歌」と呼んでいます。
プロテスタント葬儀の流れ
続いてプロテスタント葬儀の流れについてご説明します。
臨終時には「聖餐式(せいさんしき)」という独特の儀式が行われます。
聖餐式はキリスト教の「最後の晩餐」にちなんだもの。
宗教者である牧師が、ぶどう酒とパンを用いて危篤の人の唇を湿らせ、昇天と永遠の安息を祈る儀式です。
「前夜式」は仏式における通夜にあたる儀式となります。
プロテスタントは聖書を重んじているため、随所に聖書朗読が行われているのも特徴でしょう。
またカトリック・プロテスタントの共通の儀式として聖歌・讃美歌の斉唱があります。
わからない場合は歌わなくても問題ありませんが、事前に歌詞が書かれた紙が配られますのでできるだけ斉唱するようにしましょう。
火葬時にも聖歌や讃美歌の斉唱をし、祈りを捧げた後に骨上げをします。
キリスト教はもともと土葬の文化のため、火葬に対して特別なしきたりなどはありません。地域や風習や仏式の作法にならう形で行います。
葬儀の内容や流れについては所属する教会や地域によって変わる場合がありますので、不明点は教会へ問い合わせると安心でしょう。
キリスト教葬儀での作法やマナーについて
キリスト教ならではの作法やマナーを4つお伝えします。
キリスト教葬儀のマナー①「お悔やみの言葉」を述べてはいけない
キリスト教における「死」は、遺族にとって悲しいことではあるものの、不幸なことではありません。
そのため仏式葬儀のような「お悔やみの言葉」(「この度はご愁傷さまです」・「お悔やみ申し上げます」など)を述べないよう注意しましょう。
お声掛けするとしたら「天に召された故人の安らかな眠りをお祈りします」、「安らかな旅立ちでありますよう、心から哀悼の意を表します」といった言葉を選んでくださいね。
キリスト教葬儀のマナー②「香典」ではなく「御花料」と記入
キリスト教葬儀に持参する香典には「御花料(おはなりょう)」と記入しましょう。
カトリックの場合は「御ミサ料」、プロテスタントの場合は「弔慰料」と表書きに記す場合もあります。
どちらの教派かよくわからないときは、共通で使える「御花料」にしておきます。
また香典袋にお花のイラストが描かれているタイプもありますが、「蓮の花」ではなく「ユリの花」を選んでください。(蓮の花は仏式の香典袋のため)
御花料の相場は仏式の香典相場とほぼ同じです。以下の表も参考になさってください。
キリスト教葬儀のマナー③「献花」の儀式が行われる
「献花」とは、日本で行われるキリスト教葬儀においてはポピュラーな儀式。
参列者が花を一輪ずつ持ち、祭壇前に捧げてくる儀式のことで、仏式でいう焼香にあたります。
芸能人が亡くなった際に行われる「お別れの会」でご覧になったことのある方も多いのではないでしょうか?
割と自由な形式で行われることの多い献花ですが、一般的な流れについてご説明します。
献花の流れ
①花を受け取る
一礼して花を受け取ったら胸の高さに持つ。このとき花は右の手の平に乗せるように持ち、左手は茎を上からおさえるように支えましょう。
②献花台に進む
遺族へ一礼してから祭壇前まで進み、さらに一礼する
③献花台に花を供える
花が手前、茎は祭壇側へ向くよう、時計回りに回して置く
④一礼・黙祷する
カトリックの場合は黙祷してから十字を切る。
プロテスタントの場合は胸の前で手を組んで黙祷する。
信者以外は手を合わせて黙祷するだけで問題ありません。
⑤席に戻る
前を向いたままの状態で2~3歩下がり、遺族へ一礼してから自席へ戻る
※キリスト教葬儀では献花が行われるのが一般的ですが、カトリック式の場合は仏式の焼香箱を使って焼香を行うこともあります。
キリスト教葬儀のマナー④参列する際は喪服を着用
キリスト教の葬儀へ参列する際は、基本的に仏教の葬儀と同じ喪服で問題ありません。
略式喪服や黒いスーツ、女性は黒のワンピースやアンサンブルなどを着用するようにしましょう。
ただし、仏式葬儀ではありませんので数珠は不要です。
家族葬での一般的な服装マナーについてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。
家族葬での服装マナーとは?親族側・参列者側それぞれの服装を説明
家族葬はキリスト教形式でできるのか?
キリスト教葬儀を家族葬で行うことは可能です。
基本的にキリスト教形式の葬儀は教会の人たちが中心となって執り行います。
教会からは神父・牧師の他、オルガン奏者や教会に在籍するお手伝いの方、同じ教会の信者さんなども斎場に来られ、比較的参列人数の多い葬儀となるでしょう。
聖歌や讃美歌の斉唱や神父・牧師の説教などのセレモニーが中心となるため、仏式よりも長めの時間がかかることが予想されます。
ウィズハウスではキリスト教式のお葬式にもしっかりと対応させていただきますので、キリスト教で家族葬をご検討されている方はぜひご相談ください。生前相談も承っております。
まるでお家のようなお見送りのできるご葬儀を提案するウィズハウス。
家族葬の事例もいくつかご紹介しますので、参考になさってみてください。
家族葬事例2:【無宗教葬】通夜は「焼香」告別式は「献花」にて
まとめ
- ・キリスト教葬儀は「死によって永遠の命を授かるための儀式」が主な目的。「死を悲しみ、故人の成仏を祈る」仏式の葬儀とは根本的に異なる
- ・キリスト教にはカトリックとプロテスタントという2つの教派があり、葬儀の流れや儀式も異なる点がある
- ・キリスト教葬儀において「お悔やみ」の言葉は不要。また香典は「御花料」として仏式の香典と同じくらいを目安に包む
- ・キリスト教葬儀に参列する際は仏式と同じ喪服で問題ない
- ・ウィズハウスではキリスト教葬儀で家族葬を行うことも可能