
マナーやご作法
葬儀の場では、知らず知らずのうちに、使ってはいけない「忌み言葉(いみことば)」を口にしてしまうことがあります。
そう聞くと、「どんな言葉がNGなの?」「気づかずに使っていたら失礼になるのでは…」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、葬儀や弔辞、手紙・メッセージなどで避けるべき忌み言葉を一覧で紹介し、言い換えの例やチェックポイントもあわせてわかりやすく解説します。
また、忌み言葉をうっかり使ってしまったときの対処法や、よくあるQ&Aも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
忌み言葉(いみことば)は、「忌(い)む言葉」という意味を持ち、
「避けるべき」「不吉とされる」など、使用を控えるべき言葉のことを指します。
読み方が分からずに「きみことば」などと間違われることがありますが、正しくは『いみことば』です。
葬儀や法事などの大切な場では、このような言葉の読み方も間違わないよう、配慮する必要があります。
「忌み言葉(いみことば)」とは、縁起が悪い・不吉だとされる言葉や表現のことです。
主に、葬儀や法事のような場で使うと失礼にあたるとされており、古くから日本のマナーとして避けるべきものとされています。
葬儀や法要の場では、不幸や不吉なイメージを連想させる言葉を避ける文化があります。例えば「重ね重ね」「たびたび」などは“不幸が重なる・繰り返される”印象を与えるため、用いないのが一般的です。また日本では、言葉が現実に影響を与えるとする「言霊」が信じられてきたことも、忌み言葉を避けるようになった理由の一つとされています。
葬儀の際のご遺族は、大切な人を亡くした直後であるため、深い悲しみを感じています。何気ない一言でも心の負担になることがあるため、忌み言葉を避けることは心情に寄り添うマナーとして重要です。特に、生死にかかわる直接的な表現は、悪気なくご遺族の心を傷つける可能性があるため注意が必要です。
日本では弔事の言葉づかいに関する慣習が根付いています。地域や宗教で細かな違いはあるものの、忌み言葉を避けることは参列者としての礼儀であり、式全体の雰囲気や格式を損なわないという意味もあります。
忌み言葉は、葬儀や法事などの場面で特に注意が必要で、以下のようなさまざまなシーンで配慮が求められます。
どんなに気持ちがこもっていても、言葉の選び方ひとつで相手に不快感を与えてしまうこともあるため、注意が必要です。
最近では、メールやLINEで弔意を伝えるケースも増えていますが、カジュアルな文面でも忌み言葉はNGとされています。
「わざわざ〜」「また今度〜」といった言葉も、知らずに使ってしまいやすい重ね言葉の一例です。
オンライン上であっても、心を込めて適切な言葉を選ぶことが大切です。
忌み言葉を「重ね言葉」「不幸が続くことをイメージする言葉」「不幸を連想させる言葉」「生死に関する直接的な言葉」「宗教によって避けるべき言葉」に分類し、代表的なものを抜粋して、ひとつの表にまとめました。
場面に応じて適切な言葉選びができるよう、ぜひ参考にしてください。
種類 | 具体例 | 避ける理由・背景 |
---|---|---|
重ね言葉 | 重ね重ね、たびたび、しばしば、またまた | 不幸が繰り返すことを連想させる |
不幸が連続することをイメージする言葉 | また、繰り返し、何度も、追って、次に | 不幸が続くことを連想させる |
不幸を連想させる言葉 | 終わる、消える、落ちる、絶える、戻る、壊れる、離れる | 死・消失・別れ・縁切れを連想させるため |
生死に関する直接的な言葉 | 死ぬ、死去、死亡、急死、生きていた | ストレートな表現で感情的な刺激が強すぎるため |
宗教別に避ける言葉 | ・ご冥福をお祈りします(浄土真宗では不適) ・天国で安らかに(仏教では使わない) ・成仏されますように(キリスト教では不適) | 宗派ごとに価値観・表現が異なるため、配慮が必要 |
次項より更に詳しく、一つずつ解説します。
繰り返しを連想させ、「不幸が重なる」というイメージを与える表現です。
また、次になど、「不幸が続く」というイメージを与える表現です。
別れ・悲しみ・縁の切れを想起させる言葉です。丁寧な印象でも意味が重く受け取られることがあります。
生死に関する直接的な表現や、配慮が足りない表現です。
忌み言葉の中には、宗派や信仰ごとにふさわしくないとされる表現もあります。
葬儀に参列したり、お悔やみの言葉を伝える際には、故人やご遺族の信仰に配慮することが大切です。
日本では、多くの葬儀が仏式で行われていますが、仏教の教えに慣れ親しんでいる人は少数派ですので、参列前に、仏教の忌み言葉を確認しておくとよいでしょう。
同じ仏教でも、宗派によって使用しない言葉もあるため、注意が必要です。
神道の葬儀では「死」を穢れと捉える考え方があり、使用する言葉にも独特の配慮が必要です。
仏教用語である「供養」や「成仏」、「冥土」などは使わず、「帰幽」「御霊(みたま)」など神道特有の表現を使うのが望ましいとされています。
キリスト教では「死」は神のもとへの旅立ちとされており、仏教や神道で使われるような表現は適切ではありません。
「ご冥福をお祈りします」や「成仏されますように」といった表現は避け、「安らかに天に召されますように」「神の御許で安らかに」といったキリスト教の価値観に沿った言葉を選ぶようにしましょう。
※上記の言葉はすべて一律にNGというわけではありませんが、喪主や遺族との関係性や状況によって、配慮することが大切です。
日常で使用していて問題のない言葉も、悲しみの場面では「忌み言葉」としてふさわしくない場合があります。
ここでは、重ね言葉・不吉な表現・配慮に欠ける印象を与える言葉を、意味を損なわずに言い換える例をまとめました。
NG表現 | 言い換え例 | 理由 |
---|---|---|
たびたびお会いして〜 | 頻繁にお会いして〜 | 「たびたび」が重ね言葉にあたる |
くれぐれもお体にお気をつけください | どうぞお体にお気をつけください | 「くれぐれも」が重ね言葉にあたる |
わざわざありがとうございます | ご丁寧にありがとうございます | 「わざわざ」が重ね言葉にあたる |
何度もお越しいただき | 毎回お越しいただき | 繰り返しを連想させ、縁起が悪い |
度々失礼いたします | 失礼いたします | 「度々」が不幸の連続を想起させる |
死ぬ・死亡 | ご逝去・お亡くなりになる | 直接的で不快な印象を与える |
終わる・終える | お済みになる・一区切り | 「終わり」が死を連想させる |
苦しい・つらい | おつらい中・ご心労の中 | ネガティブで生々しい印象 |
生きていた頃 | ご生前 | 生々しく悲しみが増すため |
これらはあくまで一例ですが、直接的な表現や重ね言葉を避けることで、相手への思いやりが伝わる文章になります。
特にご挨拶・お悔やみ・お礼状などでは、慎重な言葉選びが大切です。
A.忌み言葉はマナーとして避けるべき言葉ではありますが、うっかり使ってしまっても深く気にしすぎる必要はありません。
誠意を持ってご遺族に向き合い、心を込めた言葉で接することが何より大切です。
A.はい、書き言葉でも忌み言葉の配慮は必要です。
「いろいろと〜」等の重ね言葉、「再び〜」等不幸が繰り返すイメージを与える言葉、「終わり〜」などの不吉な表現は避け、丁寧な言い換えを使いましょう。
たとえば、「いろいろとお世話になりありがとうございました」は「いつもお世話になりありがとうございました」などに変更するのが一般的です。
A.以下のような定型的な表現がよく使われます:
こうした言葉を使えば、失礼のない形で気持ちを伝えることができます。
忌み言葉は、葬儀や法事などの大切な場面で、遺族を思いやり、避けるべき言葉です。
今回ご紹介したような一覧や言い換え表を事前にチェックしておくことで、不安なく言葉を選ぶことができ、失礼のない対応ができます。
「知らなかったから仕方ない」ではなく、「少しでも気持ちが届くように配慮したい」。
そんな姿勢こそが、何よりも大切なマナーなのかもしれません。
大切な場面で困らないように、この記事を見返してご利用ください。
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