葬儀の知識
「身内が亡くなったけれど、ご葬儀にあてる費用に余裕がない」
「火葬式は安いと聞くが、きちんと弔ってあげられるのか?」
このような悩みを抱えている方もいらっしゃるでしょう。
火葬式は手軽に低コストで故人様をお見送りできる方法です。
ただし、ご葬儀の内容やメリット・デメリットを把握しておかなければ、あとあと親族間でトラブルになる可能性もあります。
火葬式で執り行ったあと「簡易的すぎたかもしれない」「きちんと弔ってあげればよかった」と後悔する方も少なくありません。
本記事では、火葬式の概要やメリット・デメリット・費用相場について解説します。後悔のないご葬儀を執り行えるよう、本記事を参考にしていただけると幸いです。
火葬式(直葬)とは
火葬式とは、通夜や告別式などを執り行わず、火葬のみで故人様をお見送りするご葬儀の形態です。直葬(ちょくそう)とも呼ばれています。
基本的にはご遺族のみで執り行い、参列者がいたとしても、故人様と深い交流があった方が数名といったケースがほとんどです。
宗教的な儀式に関しては、お坊さんが読経してくれる火葬式もありますが、ご遺体を荼毘に伏せるだけで終わる場合もあります。その際、戒名は授けてもらえません。お坊さんをお呼びする場合は、通常のご葬儀と同じように読経に対するお布施が必要です。
火葬式の場合、宗教的な儀式を執り行わない場合でも、服装は喪服を着用します。「喪に服す」といった意味は変わらないからです。
火葬式と家族葬はどちらがおすすめ?
火葬式と家族葬は、どちらも小規模なご葬儀という印象があります。こぢんまりとした形式を希望している方であれば、選択に迷う方もいらっしゃるでしょう。
結論から言うと、あとあと後悔がないようにしたいのであれば、家族葬がおすすめです。ただし、火葬式が悪いというわけではありません。金銭的な理由や、その他のやむを得ない事情がある場合は、火葬式でもよいでしょう。
火葬式でご葬儀を執り行う人の割合は?
ご葬儀にかけるコストが最小限で済むため、近年は火葬式を選ぶ方も増えてきました。公正取引委員会が平成29年に実施した調査によると、火葬式がご葬儀全体に占める割合は26.2%と増えています。
火葬式を選ぶ理由として「介護が財布にひびいたので、ご葬儀は安く済ませたい」のような内容が多くありました。
参照:公正取引委員会「葬儀の取引に関する実態調査報告書」
火葬式のメリット
火葬式には、費用面を含めさまざまなメリットがあります。代表的なものが、以下の3つです。
・費用負担が少ない
・短時間で執り行える
・参列者への対応が必要ない
それぞれのメリットについてみていきましょう。
費用負担が少ない
火葬式最大のメリットが、費用負担の低さです。100万円以上は必要といわれているご葬儀相場の1/4〜半額程で執り行えます。
そのため、金銭的に余裕がない方におすすめです。詳しい費用相場は『火葬式の費用相場』にて解説します。
短時間で執り行える
火葬式は通夜・告別式がないため、短時間で全てが終了します。参列者が高齢者ばかりで長時間のご葬儀だと負担になってしまう場合におすすめです。
参列者への対応が必要ない
火葬式は、ご遺族や親しい親族のみで執り行うケースがほとんどです。そのため、ご遺族が参列者の対応をする必要がありません。
ただし、ご葬儀に参列できなかった方々が弔問に訪れる可能性もあります。弔問の場合、ご葬儀の場と異なり、1組ずつ対応しなければなりません。その際に香典をいただくこともあります。弔問客の対応に追われ、予想外に忙しくなってしまう点は留意しておきましょう。
火葬式のデメリット
火葬式には一般のご葬儀にはないデメリットが存在します。その最たるものが以下の3つです。
・あとから後悔する可能性がある
・親族に理解を得られずトラブルになる危険性がある
・菩提寺によっては対応してくれない場合がある
火葬後の供養に関わる内容もありますので、しっかりと確認しておきましょう。
あとから後悔する可能性がある
火葬式は宗教的な儀式を執り行わないケースがほとんどのため、弔っている感覚が一般のご葬儀よりも薄いです。あとから「もう少ししっかりとご葬儀をとり行ってあげればよかった。故人様に申し訳ない」と後悔する方もいらっしゃいます。
親族に理解を得られずトラブルになる危険性がある
宗教的な儀式がなく読経もされないケースがほとんどのため「故人様がかわいそうだ」と親族から理解を得られない可能性があります。特に、相談をせずに火葬式をとり行った場合、のちのちトラブルになるケースも少なくありません。
菩提寺によっては対応してくれない場合がある
火葬式の場合、菩提寺によっては読経や納骨をお断りするところもあります。宗派の教えや菩提寺の考え方による部分もあるため、火葬式を検討している方は、対応してくれるか事前に相談しましょう。
火葬式の費用相場
火葬式の相場は、20万〜30万とされています。具体的には、最低限以下の費用が必要です。
・ご遺体の搬送費用
・ご遺体の安置費用
・棺・骨壷の費用
・火葬料金
100万円以上は必要だとされているのに比べると、はるかに安く執り行えます。お通夜・告別式がないのに加え、返礼品の用意やお斎の費用がかからないのも大きな要因です。
そのほか、必要に応じて僧侶へのお布施や枕飾りなどの費用が追加されます。
火葬式の流れ
火葬式の流れは以下のとおりです。
<1日目>
①ご遺体の搬送
②ご遺体を安置
③納棺
<2日目>
④出棺、火葬
⑤お骨上げ
日本の法律で、ご遺体は逝去後24時間以内に火葬してはいけないと取り決められています。そのため、火葬式が行えるのは、どんなに早くてもご逝去の翌日です。
また、2日目の所要時間は2時間前後となっています。
火葬式に関してよくある質問
火葬式に関してよくある質問をまとめました。ご葬儀の形態を決める際の参考にしていただけると幸いです。
その後の供養はしてもらえるのか
納骨や年忌法要・追善供養をしてもらえるかは、菩提寺によって異なります。心配な場合は、菩提寺に火葬式を検討している旨と、その際に供養はしてもらえるかを確認しましょう。
葬儀社を通さず自分だけで準備できるか
葬儀社を通さずに火葬式を執り行うことは可能です。ただし、あまりおすすめはしません。なぜなら、ご遺体の安置・棺の用意・納棺・火葬場の予約などを全て自分でしなければならないからです。特に、ご遺体の処理は素人だと難しい部分があります。
なるべく綺麗な姿でお見送りしたいのであれば、多少費用はかかりますが、葬儀社の利用を検討しましょう。
まとめ
火葬式(直葬)は、あまりお金と手間をかけずに執り行える葬送の形式です。こぢんまりとしたご葬儀が人気となっている昨今、火葬式を検討する方も多くなってきました。
しかし、安さと手間の少なさばかりが取り上げられ「故人様をしっかりと弔えるのか」といった点がないがしろになりつつあります。
故人様の遺志で火葬式を執り行うのであれば問題はありません。そうでなければ、費用・参列者の年齢・親族間の関係などをしっかりと考慮して、ご葬儀の形式を決めましょう。
ウィズハウスでは、火葬式のプランも用意しています。短い時間のなかでも、故人様としっかりとお別れができるプランです。
プランの内容を聞いてみたいと思った方は、無料の電話相談をご利用ください。