葬儀の知識
ご葬儀を執り行う上で、葬儀場選びは重要なポイントです。しかし、人生で何度も利用する場所ではないため、どのような基準で選んだら良いのか不安になる方もいらっしゃるでしょう。
そこで、本記事では葬儀場の種類や各施設の特徴、メリット・デメリットを解説します。葬儀場選びで失敗しないためのポイントも紹介していますので、併せて参考にしてください。
葬儀場とは?斎場との違いを解説
葬儀場とは、ご葬儀を執り行うための施設です。ご遺体の安置所やご遺族が泊まれる場所を併設している施設が多く、火葬以外の全てが完結できるようになっています。
一方、斎場とは、ご葬儀から火葬までを一箇所で執り行える施設です。火葬場と葬儀場が併設されており、火葬場まで移動する手間をかけずに一連の儀式を執り行えます。
しかし、北海道では火葬場を併設している葬儀場がありません。そのため、「葬儀場=斎場」といった認識が一般的です。
葬儀会場の種類
ご葬儀を執り行うための会場としてメジャーなのが民営斎場です。その他にもさまざまな施設があります。代表的なものが以下の5つです。
- 民営斎場
- 寺院(教会)
- ホテル
- 公民館や寄合所
- 自宅
それぞれの特徴や、メリット・デメリットについてみていきましょう。
民営斎場
民営斎場とは、企業や宗教法人が運営する斎場です。「◯◯セレモニーホール」「◯◯斎場」などが該当します。互助会が持っている施設も民営斎場の一つです。
自社施設として運営しているため、ご遺族の意向・要望を柔軟に取り入れてくれる傾向があります。「身内だけでゆっくりとお別れをしたい」「故人様の趣味に合わせて、特殊な趣向を凝らしたい」なども聞き入れてくれる可能性が高いです。
ご葬儀に必要な設備・備品も全て備えているため、ご遺族が自分で用意する物が少ないといったメリットもあります。
寺院(教会)
寺院の檀家になっている方や、キリスト教に入信している方は、寺院や教会でご葬儀を執り行うことが可能です。荘厳な雰囲気でご葬儀を進めたい方や、宗教的な儀式を重んじる方におすすめの会場です。
近年は、寺院で斎場を運営しているところもあるため、菩提寺が斎場を持っているか確認してみるのもよいでしょう。
ホテル
ホテルや旅館にはご遺体を安置することができませんが、お別れ会や偲ぶ会の場所として利用されるケースはあります。家族のみでのご葬儀や密葬をとり行ったあと、お別れ会または偲ぶ会を予定している方におすすめです。
公民館や寄合所
地域の方が利用できる公民館や寄合所も、ご葬儀を執り行える施設の一つです。予約が取りやすく、費用も安くすみます。自宅からも近いため、交通の便がよい点もメリットの一つです。
しかし、近年は公民館や寄合所でご葬儀を執り行う方はほとんどいません。一昔前であれば一般的でしたが、昨今は「ご葬儀の用途であれば場所の貸し出しはしない」といったところもあります。
公民館などを利用するならば「ご葬儀会場として借りられるか」「ご葬儀に必要な道具はそろっているか」などを確認しましょう。
自宅
ご葬儀を執り行う場所として、自宅を選択するのも一つの方法です。自宅であれば、時間の制限はありませんし、故人様が長く過ごした家で大切な方々とゆっくりお別れができます。
会場使用料を支払う必要が無いため、費用を抑えることが可能ですし、通夜振る舞いをそのまま自宅で行えます。しかし、自由が効く反面、ご遺族は参列者のおもてなしや対応に動かなければなりません。
また、ご自宅に喪服を着用した方が出入りするため、不幸があったことが近隣住民に知られてしまいます。あまり明るみにしたくないという方は自宅以外の場所がおすすめです。
事前に確認しておくべき事項
ご葬儀会場を選ぶ際には、以下の事項を事前に確認しておきましょう。
- 希望するご葬儀の形態
- 宗教・宗派
- ご葬儀にかける予算や規模
これらの項目を確認しておけば、会場選びがスムーズにすすみます。それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
希望するご葬儀の形態
ご葬儀の形態として代表的な種類が、以下の4つです。
- 一般葬
- 家族葬
- 密葬
- 火葬式(直送)
どの形態でご葬儀を執り行うかによって、選ぶ会場の基準が異なります。例えば、一般葬の場合は参列者の人数によっては大規模な会場が必要です。一方、家族葬は比較的こぢんまりとした会場でも問題はありません。
宗教・宗派
葬儀会場を選ぶ際には、事前に宗教・宗派も調べておく必要があります。なぜなら、宗教によって準備内容が異なるからです。無宗教かも含めて、把握しておきましょう。
宗教・宗派はご葬儀の打ち合わせ時に必ず聞かれる項目です。分からない場合は、親族に確認しておきましょう。
ご葬儀にかける予算や規模
「このくらいまでなら出せる」といった予算の上限を決めておくのも大切です。相場感が分からないと決めるのが難しいかもしれませんが、予算を決めておけば会場選びやプラン選択の際に役立ちます。
また、ある程度参列者の人数を想定しておくのも重要です。お通夜は想定していたよりも多くの方が参列する可能性があることを覚えておくと良いでしょう。
葬儀会場を選ぶ際のチェックポイント
会場を選ぶ際には、以下のチェックポイントを意識して確認するとよいでしょう。
- 利用料金
- 収容人数
- その他設備
- 交通環境
- 宿泊環境
それぞれのチェックポイントについて詳しくみていきましょう。
利用料金
会場の費用は、どの施設を選択するのかによって大きく変わります。例えば、民営斎場を利用した場合は、会場費用を含めたご葬儀全体の費用が数十万円から数百万円必要です。
注意点として、会場費用は安ければよいというわけでもありません。費用を意識したばかりに満足なご葬儀を執り行えなかったといった方もいらっしゃいます。
ご葬儀は、大切な家族との最後のお別れです。予算内におさまるかといったポイントを基軸に、悔いのない会場を選びましょう。
収容人数
前項で想定したご葬儀の規模をもとに、斎場の収容人数を確認します。より多くの方にお別れをして欲しい方や、多方面に訃報連絡をしている場合は、大規模なスペースの方がよいでしょう。
反対に、小規模なご葬儀を想定しているのであれば、広すぎる会場はかえって寂しい印象となってしまいます。生前の交友関係や勤務先の規模などを念頭におきつつ会場を選ぶのが大切です。
その他設備
お斎など、場所を変えずに行いたい場合は、食事会場があるのかのチェックも必要です。また、参列者に高齢の方が多いと予想されるのであれば、バリアフリー対応であるかも確認しましょう。
段差や階段の多いところや、正座しなければならない会場であれば、高齢者にとって負担になってしまいます。
交通環境
交通環境とは、駐車場の規模・公共交通機関の利便性などです。遠方から参列してくれる方が多い場合、移動は公共交通機関になるでしょう。
その際には、公共交通機関の停車場が会場まで近いかが大切となってきます。反対に、自家用車で参列する方が多い場合は、駐車場の広さが重要です。
宿泊環境
お通夜の際には、ご遺族がご遺体のそばに寄り添って一晩を過ごします。そのためには、葬儀場に泊まれる設備があるかの確認が大切です。民営斎場であれば、ほとんどの場合遺族が寝泊まりできるよう準備を整えています。
しかし、なかにはシャワーがない施設や、そもそも宿泊できない施設もあります。特に小さなお子さんが一緒に泊まる際には、子どもも泊まりやすいかを確認しましょう。
葬儀会場選びを失敗しないためのポイント
葬儀会場および葬儀社選びを失敗してしまうと、ご葬儀自体も後悔の残るものになってしまいます。そのような事態を防ぐためにも、会場を選ぶ際には以下のポイントに注意しましょう。
- 見積もりの料金は明瞭か?
- スタッフの対応はどんなときでも丁寧か?
- 契約を急かしてこないか?
- 口コミや評判は良いか?
それぞれの内容についてみていきましょう。
見積もりの料金は明瞭か?
葬儀社のなかには、おおまかな明細だけを記載し、請求時に追加費用を上乗せしてくるところも少なくありません。そのため、見積もりを取ったときには、明細が明瞭であるかを確認しておきましょう。
また、相見積もりをとって明細を比較検討するのも大切です。相見積もりをすると、他者との比較検討ができますし、相場感がつかめます。
スタッフの対応はどんなときでも丁寧か?
プランの内容や予算によって、スタッフの態度が変わらないかも重要です。ご葬儀は故人様やご遺族にとって大切な儀式です。
そのような儀式に対して、予算で対応を変えるスタッフはあまり信用できません。予算に関係なく、親身になってくれるスタッフがいるところを探しましょう。
契約を急かしてこないか?
何度も伝えたとおり、ご葬儀は故人様・ご遺族にとって大切な儀式です。そのため、プラン内容の詳細を決めるにあたって優柔不断になってしまうことは十分に起こり得ます。その際に「今なら割引がききます」などと契約をせかす場合は注意しましょう。
口コミや評判は良いか?
葬儀会場や葬儀会社は、大手だからよいというわけでもありません。実際に使用した方の口コミや評判などが実際の評価です。会場選びで極力失敗を避けたいのであれば、口コミや評判はしっかりと確認しておきましょう。
余裕があれば、内見もおすすめです。理想とする会場か、バリアフリーに対応しているかなどを目視で確認できます。
まとめ
ご葬儀会場として利用できるのは、民営斎場・寺院(教会)・ホテル・公民館や寄合所・自宅の5つがあります。どれを選んでも間違いではありませんが、それぞれのメリット・デメリットを把握して決定するのがおすすめです。