葬儀の知識
看取りの可能性が高いご家族がいらっしゃる場合「搬送にはいくら必要なのか」「どこに依頼すればよいのか」と、不安になる方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、ご遺体の搬送費用や依頼先、一般的な搬送の流れを解説します。ご遺体の搬送について少しでも不安に思っている方は、ぜひ参考にしてください。
ご遺体の搬送を依頼する先は大きく2つ
病院や老人ホームなどで逝去された場合、ご遺体を安置所へ搬送しなければなりません。ご遺体の搬送を依頼できる業者は次のとおりです。
- 葬儀社
- 遺体搬送専門業社
各業者の特徴や、メリット・デメリットについて解説していきます。
葬儀社
ほとんどの場合、ご遺体の搬送は葬儀社に依頼します。ご葬儀を依頼する先が決まっているのであれば、事前に決めていた葬儀社に連絡しましょう。
搬送してもらった葬儀社にそのままご葬儀まで依頼してもよいですし、他の葬儀社を探しても問題はありません。
しかし、搬送とご葬儀を別々で依頼すると、同じ葬儀社への依頼と比べて割高になる可能性があります。一から葬儀社を探すといった手間も必要です。別々で依頼する場合は、ご葬儀までの猶予・予算・自分たちの余裕などを総合的に判断して決めましょう。
遺体搬送専門業者
遺体搬送専門業者とは、ご遺体の搬送のみを専門に行う業者です。プロとしてしっかりと安置所まで搬送してくれます。ただし、ご遺体の搬送をメインとしているため、安置後の処置に対応していないケースもあります。
ご遺体の搬送に必要な費用
ご遺体の搬送料金は、移動距離によって異なります。搬送車の移動距離が長くなれば、それだけ料金も高くなる仕組みです。タクシーのメーター料金と似ています。早朝や夜間帯であれば割増料金となり、積雪の時期には冬季割増が発生する業者もあります。
一般的な搬送費用
一般的な距離でご遺体を搬送する場合、以下2つの距離を合算した金額が、搬送費用として必要です。
- 葬儀社からご遺体を積み込む場所までの距離
- 遺体を積み込んでから安置所までの距離
10kmまでの相場は20,000円〜25,000円程で、以降10kmごとに2,000円〜7,500円程の料金が加算されていきます。早朝・深夜の割増料金は4,000円前後で設定している葬儀社が多いようです。
他にも、ご遺体をきれいに保つための費用として、以下の費用が必要です。
- ドライアイス
- 防水シーツなど
コープの家族葬ウィズハウスの葬儀プランには、一定の搬送料金や備品が含まれています。
県外(遠距離)で亡くなった際の搬送費用
県外などの遠方で亡くなられた場合は搬送距離が長くなるため、近距離の搬送に比べて料金は高額となります。
距離が増えるだけでなく、高速道路使用料も発生し、数時間以上走らせる場合はドライバーの交代が必須ですので、人件費もプラスで必要です。
場所によっては、フェリーでの搬送もしなければなりません。船舶で搬送する場合は、おおよそ150,000円前後発生すると考えておきましょう。
長距離での搬送は大きな費用を覚悟しておいた方がよいです。距離によっては航空機を利用した搬送の方が安くなる場合もあります。
海外で亡くなった際の搬送費用
海外で亡くなった場合は、日本に到着するまでにおおよそ1,000,000円〜2,000,000円が発生すると見積もっておきましょう。費用の明細は、以下のとおりです。
- 海外でのエンバーミング費用
- 搬送に関する書類作成や諸手続きの費用
- 納棺費用
- 航空貨物運賃
- 燃料サーチャージ
- 日本についてから安置所までの搬送費用
ご遺体は貨物として扱われるため、貨物運賃が必要です。また、どの国から出発するのかによって、料金が大幅に変わります。
自分で搬送する際の搬送費用
ご遺体の搬送は、自家用車でも可能です。自分たちで搬送する場合は、死亡診断書を必ず携帯しましょう。コピーでも問題はありませんが、不要な疑いをかけられないためにも、原本の携帯をおすすめします。
ただし、自分たちで搬送する方法は、あまり現実的ではありません。ご遺体を搬送する場合、ご遺体から発生する滲出液などでシートが汚れてしまう可能性があります。感染症のリスクもあるため、きれいにご遺体を安置したいのであれば、専門業者への依頼がおすすめです。
搬送料金の支払い方法
搬送料金は、ご遺体を安置したあとに支払います。支払い方法は、現金やクレジットカードなどです。近年はバーコード決済に対応している搬送業者も少しずつ増えてきています。
搬送してもらった葬儀社にご葬儀まで依頼する場合、ご葬儀費用と一緒に請求されるケースが多いです。
ご逝去から搬送までの流れ
ご逝去から搬送までの流れは、ご遺体を積み込む場所と安置する場所によって異なります。本項では、一般的な搬送の流れに加えて、県外(遠距離)・海外で亡くなった場合の流れについて解説します。
一般的な搬送の流れ
一般的な搬送の流れは、以下のとおりです。
- ご遺体を搬送してもらう葬儀社に連絡する
病院で亡くなった場合、ご遺体は霊安室に保管されます。しかし、霊安室は長い時間保管しておける場所ではありません。早めに業者へ連絡し、ご遺体を搬送してもらいましょう。
- 搬送先(ご遺体の安置所)を決める
ご遺体の搬送先として多いのは、葬儀社やご自宅です。搬送する際は、自分の情報・故人様の情報・ご遺体がある場所(病院名など)・搬送先・宗教宗派について伝えます。宗教宗派を伝えるのは、枕飾りを準備するためです。
- ご遺体を安置するための準備
ご自宅で安置する場合は、故人様を寝かせるための布団を用意します。また、安置場所までご遺体がスムーズに搬送できるよう、家具などの位置もずらしておくとよいでしょう。葬儀社の安置室に搬送する場合は、葬儀社の方でほとんど用意してくれています。
- ご遺体の安置
仏教または神道であれば、基本的に北枕で安置します。キリスト教は特に決まりはありません。枕元には「枕飾り」と呼ばれる小さな祭壇を用意します。
県外(遠距離)でなくなった場合の流れ
県外(遠距離)で亡くなられた場合の流れは、以下のとおりです。
- ご遺体を搬送してもらう葬儀社または遺体搬送業者に連絡
遠方で亡くなられた場合は、葬儀を依頼している葬儀社または亡くなられた施設の近くにある搬送業者に依頼するのが一般的です。
- 搬送先(ご遺体の安置所)を決める
葬儀社の安置室またはご自宅など、ご遺体を搬送する先を決めます。
- 納棺する
一般的には、ご遺体を安置したあとにご遺体を納棺します。しかし、遠方で亡くなられた場合は、安置前に納棺するケースも少なくありません。ご遺体を長い距離移動させるため、できるだけきれいな状態で安置場所へ搬送するための工夫です。
- ご遺体を安置所へ搬送する
搬送車でご遺体を搬送します。場所によっては、有料高速道路・船舶・航空機などの経由も必要です。
海外で亡くなった場合の流れ
海外で亡くなられた場合の流れは、以下のとおりです。
- ご遺族へ連絡が入る
海外で亡くなられた場合、現地の大使館または領事館から外務省へ連絡が入り、外務省からご遺族へ逝去が伝えられます。
- 必要書類の取得
現地の医者が発行した死亡診断書が必要です。他にも、防腐証明・遺体証明などを取得しなければなりません。
- ご遺体の安置所を用意する
日本でご遺体を安置する場所を用意します。
- エンバーミング
ご遺体を長時間きれいに保つための処置をエンバーミングといいます。海外からご遺体を搬送する場合は、現地でエンバーミングを施してもらわなければなりません。エンバーミングが完了したのち、防腐証明を取得します。
- 納棺・梱包
空輸の場合は、納棺した状態でなければ飛行機に乗せられません。
- 空輸
ご遺体を現地の空港へ搬送し、日本へ空輸します。このときの搬送もご遺族負担です。
- 空港から安置所へ搬送
日本の空港から安置所へ搬送します。
世界には、エンバーミングに対応していない、もしくは法律によってエンバーミングができない国も存在します。そのような国で亡くなられた場合は、現地で火葬してから搬送する可能性が高いです。
ご遺体の搬送に関してよくある質問
ご遺体の搬送に関してよくある質問をまとめました。ご遺体の搬送に対する疑問や不安の解消に役立てていただけると幸いです。
搬送してもらった葬儀社と別の会社にご葬儀を依頼してもいい?
ご遺体の搬送だけ依頼し、ご葬儀は別の葬儀社に依頼することは可能です。ただし、その場合は搬送料金とご葬儀代の総額が相場よりも割高になる可能性があります。
搬送を依頼する葬儀社によって料金が大幅に変わることはある?
業社によって大幅に金額が変わることはありません。幅があっても20,000円〜30,000円ほどです。
ご遺体の搬送料金は各社が自由に決めて良いとされていますが、国土交通省に届け出て認可を受けなければなりません。そのため、法外な料金を設定している業者はほぼないです。
他社との差別化として、長距離での割引や無料オプションを用意している業者はあります。
まとめ
ご遺体の搬送は、葬儀社または遺体搬送専門業者に依頼するのが一般的です。費用は走行距離によって異なり、10kmまでは20,000円〜25,000円が相場です。以降10kmごとに2,000円〜7,500円程の料金が加算されます。
ご自身で搬送することもできますが、ご遺体の状況を慮るのであれば、専門の業者に依頼するのがおすすめです。
コープの家族葬ウィズハウスでは、24時間対応でご遺体の搬送も承っております。亡くなられた際の対処方法に関する相談も無料で受け付けておりますので、気軽にお電話ください。