葬儀の知識
こんにちは、家族葬のウィズハウス スタッフの大崎です。
葬式で「喪主(もしゅ)」という役割は聞いたことはあっても、「施主(せしゅ)」はわからないという方は多くいらっしゃると思います。
特に北海道と本州とでは、考え方の違いで大きく変わってきます。
あまり表に出ることのない「施主」ですが、実は葬儀では大切な役割を担っています。
今回は施主の役割や施主が生まれた背景、喪主との違いについてご紹介します。
施主とは葬式費用を実際に支払う人のこと
葬儀を行うためには、たくさんの費用がかかります。
葬儀会社に支払う費用、寺院へお渡しするお布施、香典返しやおもてなしの飲食代など…これらの費用を実際に支払い、費用面から喪主を支える人が施主です。
現在の葬儀では、喪主が施主も兼ねている場合が多いのですが、厳密には別の役割ということになります。
昔の日本では息子が家を継ぐ家督相続制度をとっていました。
家庭の父親が亡くなった時、代表者として家を継ぐのは息子です。
息子がまだ若い場合であっても、跡取りの当主として葬儀を取り仕切る喪主を務めることになります。
当時の喪主とは葬儀の取り仕切りだけではなく、家の代表者としてその後の遺骨やお墓の管理、法要の開催なども行うため、家督を相続する跡取り息子が喪主を務める必要があったのです。
しかし、息子がまだ若い場合など葬儀の費用を出せないこともあります。
その際に故人の妻や親族など周りの大人が施主となり、葬儀費用の負担をしていたのです。
葬式での喪主と施主の役割の違いを確認
葬儀での喪主と施主の役割の違いを比べて確認しましょう。
喪主
遺族の代表として葬儀全般を取り仕切ります。
葬儀会社と打ち合わせをして葬儀内容を決定したり、葬儀内で喪主として挨拶を行います。
会葬礼状や新聞への死亡広告、その後の法要なども喪主の名前で出すことになります。
喪主の基本的な役割についてはこちらの記事でもご紹介しています。
施主
葬儀費用やお布施などの支払いを実際に行う方とされておりますが、北海道では、主に長男が喪主のサポート役として施主を務めます。
特に喪主が高齢の場合は、代わりに親族代表あいさつを行うなど重要な役割を担います。
長男がいない場合でも、長女や長女の婿が施主を務めて喪主の支えとなります。
香典返しに添えられる会葬礼状には施主として名前が記載されます。
会社関係でお付き合いが多い場合など故人との関係性もよくわかるため、積極的に施主として立つことも多いです。
近年の葬儀では家督や跡取りといった考え方はあまりせず、現時点での遺族の代表者が喪主を務め、費用負担も喪主が行うことが多いです。
施主という役割がなくなったわけではなく、実質的には喪主と施主を兼任していると言えますね。
葬式で喪主と施主が異なるのはこんなケース
近年は減ってきているとはいえ、喪主と施主が異なる葬儀も実際にはあります。
代表的なケースをご紹介します。
【ケース1】喪主:高齢の妻 施主:独立した息子
よく見られるケースとしては高齢の故人の妻が喪主を務め、独立した成人以上の息子が施主として費用面のサポートをするケースです。
北海道や札幌近郊で最も一般的です。
【ケース2】喪主:若い長男 施主:故人の妻
まだ未成年である長男が喪主を務める場合もあります。
ただしその場合でも最近は昔とは違い、喪主と言っても葬儀での挨拶などを担当する程度がほとんどなのではないでしょうか。
実質的には故人の妻が施主として葬儀費用を払い、葬儀の打ち合わせや進行などの取り仕切りも担っている場合が多いです。
本州では一般的な地域がありますが、北海道ではほぼありません。
【ケース3】喪主:故人の妻 施主:故人が経営していた会社
故人が会社を経営していて、会社として社葬を行う場合がこれにあたります。
喪主は故人の妻が務め、社葬の費用は会社が負担するため会社が施主と言えるでしょう。
葬儀の喪主や施主は誰が務めるべきという決まりはありません。
現在の葬儀では社葬など特別な場合を除き、喪主と施主は同じ方が務めている場合がほとんどです。
まとめ
・葬式の施主と、葬儀費用や寺院へのお布施など金銭面の支払いを実際にする人のことです。昔の家督相続制度により、若い息子が喪主を務める場合に周りの親族が葬儀費用を負担していたことから役割が分かれていました。特に北海道では「家督」に対しての考え方が異なるため施主の捉え方が本州とは違うと考えられています。
・厳密には喪主と施主では役割が違います。喪主は遺族の代表者として葬儀内容を決定、葬儀全般を取り仕切ったり、葬儀で挨拶などを行ったりします。施主は金銭面で葬儀運営を支えますが、対外的に施主として紹介されることはありません。
・近年は喪主が施主も兼任しているケースがほとんどですが、誰が喪主や施主をしなくてはいけないというルールはありません。家族の形や遺族の意向に合わせて役割を決めると良いでしょう。