葬儀の知識

投稿日:2024年12月3日

更新日:2024年12月3日

札幌市の生活保護受給者の葬儀(福祉葬)で使える葬祭扶助とは?

札幌市では、生活保護を受給している家庭や経済的な理由で葬儀費用の負担が難しい方々を支援するために「葬祭扶助」という制度を設けています。葬祭扶助制度は、最低限の葬儀を行えるようにするために、火葬費や葬儀にかかる費用を札幌市が負担する仕組みです。

利用するには、生活保護受給者もしくは生活保護法に準じた条件を満たす必要があります。本記事では、札幌市の葬祭扶助の概要から申請方法、利用時の注意点までを解説します。

葬祭扶助とは?札幌市の制度概要

そもそも、葬祭扶助とは何なのでしょうか。漠然と葬祭費に関連するお金がもらえると認識している人も少なくありません。しかし、葬祭扶助制度を利用するには、札幌市や国が定めた条件をクリアしている必要があるのです。

葬祭扶助の基本情報と、札幌市における制度の詳細を解説します。

葬祭扶助の基本情報

葬祭扶助制度とは、生活保護を受給している方や経済的に厳しい状況にある方を対象に、葬儀費用の負担を支援する公的な制度です。火葬や告別式など、最低限の葬儀費用を市が負担するものですが、扶助の支給額は定められており、札幌市が認定した費用の範囲内でのサポートです。

扶助の内容は「福祉葬」として定められており、葬儀の範囲や内容についても規定が設けられています。葬儀の形式や追加の費用を伴うサービスには対応できないため、利用前に扶助内容を確認しておくことが重要です。また、葬儀社の選択にも制約がある点に注意が必要です。

札幌市の葬祭扶助制度と生活保護法の関係

札幌市の葬祭扶助制度は、生活保護法に基づいて運営されている支援制度のひとつです。生活保護法には、生活に困窮する人々が健康で文化的な最低限度の生活を送れるよう、基本的な生活費、住宅費、教育費、医療費などの扶助が定められており、葬儀費用もその対象です。

葬祭扶助は、同法の扶助の一環として提供され、経済的に厳しい遺族が故人に最低限の葬儀を執り行えるようサポートしています。札幌市の場合、生活保護を受けている家庭のほか、生活保護の受給に準ずる基準で経済的に困窮している家庭も対象です。

葬祭扶助を受けるための条件

札幌市で葬祭扶助を受けるには、いくつかの条件を満たす必要があります。主な対象者は、生活保護を受給している人の遺族や、生活保護の受給基準に準ずる経済的困難を抱えている遺族です。以下に、葬祭扶助を受けるための主な条件を示します。

・対象:故人が生活保護を受給していた場合、遺族が経済的に困窮している場合
・申請者:故人と生計を共にしていた遺族や扶養義務者
・葬儀の形式および内容:福祉葬として決められた最低限の葬儀
・葬儀社:市が認定した一部の葬儀社
・申請手続き:葬儀を始める前に札幌市の福祉事務所へ申請

このような条件を満たしている場合、札幌市の葬祭扶助制度の対象です。なお、申請者については、何らかの事情で親族・遺族が申請できない場合のみ、他の近親者や関係者からの代理申請が可能です。

葬祭扶助を利用することで、経済的に困難な状況でも故人のために最低限の葬儀を執り行うことが可能になります。ただし、あくまでも最低限の補助である点を忘れてはいけません。

札幌市の葬祭扶助でカバーされる費用と金額

札幌市の葬祭扶助制度は、葬儀費用の一部または全額が補助されるものです。では、実際にどの費用が葬祭扶助制度の対象となるのでしょうか。詳しく見てみましょう。

葬祭扶助の対象になる費用

札幌市の葬祭扶助制度では、生活保護を受けている方やその遺族が最低限の葬儀を執り行う際に必要な費用をカバーしています。対象となる費用は、故人を見送るために必須とされる項目に限定されており、具体的には以下のような費用となっています。

・火葬費
・遺体搬送費用
・簡素な葬儀費用(福祉葬)
・火葬後の遺骨安置費用

葬祭扶助は故人を最低限の形式で送り出すための費用を対象としています。内容はいずれもシンプルなものに限定されており、オプションや装飾はありません。また、遺体を搬送する費用も札幌市が指定したルートを通らなければならないなどの制約もあります。

火葬後に必要となる遺骨の処理や安置に関わる費用も扶助に含まれますが、墓地への納骨やその他の埋葬費用は自己負担となります。あくまでも葬儀関連のみの費用が補助の対象である点に注意してください。

生活保護を受けていないが、福祉葬を行う条件を満たす場合、費用の一部が補助されます。生活保護受給者に関しては、次の章を確認してください。

生活保護受給者であれば全額補助される

生活保護を受けている方が故人となった場合、葬儀にかかる費用が原則として全額補助されます。これは生活保護法に基づき、経済的に困難な状況にある家庭が、故人を最低限の形式で見送るための支援を受けられるよう設けられているためです。具体的には、以下のような葬儀に必要な最低限の費用が全額補助の対象となります。

・火葬費用:故人の火葬にかかる費用
・遺体搬送費用:葬儀場や火葬場までの遺体搬送費
・簡素な葬儀費用:福祉葬としての最低限の通夜や告別式の費用
・遺骨安置にかかる費用:火葬後の遺骨処理や一時的な安置費用

繰り返しになりますが、制度で補助されるのは市が定める基準内での費用に限られており、豪華な祭壇や追加のオプション費用は自己負担となります。また、支給額は予算内で設定されているため、上限を超えた費用についても自己負担が必要です。

葬儀費用を事前に札幌市の福祉事務所へ確認し、必要な書類を揃えて申請することで、葬儀後に金銭的な負担を避けることができます。生活保護受給者が経済的負担を抑えつつ、故人を見送るための大きな助けとなるでしょう。

福祉葬(生活保護葬)の申請方法

札幌市の福祉葬(生活保護葬)を利用するためには、事前の申請が必要です。以下は福祉葬の申請方法についての手順です。

1.対象かどうか調べる
2.取扱のある葬儀社を選ぶ
3.逝去した際に福祉事務所に連絡する
4.葬祭扶助申請を行う
5.葬儀を執り行い納骨まで完了させる
6.葬儀費用が支給される

それぞれの詳細を解説します。

対象かどうか調べる

札幌市の葬祭扶助を利用するには、申請者が対象であるかを事前に確認することが重要です。葬祭扶助は生活保護を受給している方や、それに準じた経済的困難を抱える遺族のための支援制度です。

故人が生活保護を受給していた場合や、遺族が経済的に厳しい状況にある場合は対象となる可能性があります。札幌市の基準に基づき、収入や資産状況を確認されますので、必要書類(収入証明書や資産報告書など)を用意しておきましょう。

取扱のある葬儀社を選ぶ

札幌市の葬祭扶助制度を利用して福祉葬を行うには、市が指定する葬儀社を選ぶ必要があります。札幌市が認定した一部の葬儀社のみで対応しており、指定外の葬儀社を利用した場合、扶助が受けられないことに注意が必要です。以下の手順で、適切な葬儀社を選びましょう。

1.指定葬儀社のリストを確認する
2.葬儀社のサービス内容を確認する
3.見積りを取得し費用を把握する
4.福祉事務所へ事前連絡を行う

ポイントは、選択した指定葬儀社と契約する前に、必ず福祉事務所へ連絡を入れて手続きを進めることです。葬儀社との契約に先立ち、福祉事務所での承認を受けておくことで、支給手続きがスムーズに進みます。

逝去した際に福祉事務所に連絡する

札幌市の葬祭扶助を利用するには、故人が亡くなった際、速やかに福祉事務所へ連絡することが必要です。この連絡が遅れると、葬祭扶助が受けられない場合があるため、下記の手順に沿って迅速に対応しましょう。

1.逝去後すぐに福祉事務所に連絡する
2.必要書類の指示を受ける
3.指定葬儀社について再度確認する
4.福祉事務所の事前承認を得る
5.葬儀後の手続きも確認する

故人が亡くなった際には、迅速に福祉事務所に連絡を取り、指示を受けましょう。

葬祭扶助申請を行う

札幌市の葬祭扶助を利用するためには、福祉事務所で正式な申請手続きを行う必要があります。申請が完了し、扶助が承認されると、必要な葬儀費用が補助されます。以下は、葬祭扶助申請の手順です。

1.申請に必要な書類を準備する
2.申請書の記入して福祉事務所に提出する
3.扶助対象と支給額を確認する
4.審査の結果を待つ
5.承認後に葬儀の手配を進める

なお、必要な書類は以下のとおりです。

・故人の死亡診断書
・申請者の身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)
・故人および申請者の収入や資産に関する証明書
・その他、福祉事務所が指定する必要書類

このように、葬祭扶助の申請手続きをしっかり行うことで、札幌市の葬祭扶助制度を利用できます。

葬儀を執り行い納骨まで完了させる

札幌市の葬祭扶助制度の申請が承認された後は、福祉葬として定められた形式で葬儀を執り行い、火葬および納骨までを完了させる流れになります。福祉葬は、葬儀内容や費用が制限されているため、あらかじめ流れを把握しておくとスムーズです。事前に葬儀社に確認するようにしてください。

葬儀が無事に完了したら、福祉事務所へその旨を報告します。必要に応じて、葬儀社から提供される完了報告書や、火葬後の証明書などの書類を提出します。これにより、扶助の支給手続きが正式に完了します。

葬儀費用が支給される

札幌市の葬祭扶助による葬儀が無事に完了すると、札幌市から葬儀費用が支給されます。

支給方法とタイミングは通常、葬儀費用は札幌市が指定葬儀社に直接支払う形で支給されるため、遺族が負担分を支払う必要はありません。支給が完了するタイミングは、葬儀および火葬が完了した後、必要な手続きが完了してからです。支給時期については福祉事務所で確認しましょう。

もし支給上限を超えた場合、葬儀社から明細が提示され、遺族が自己負担として精算します。自己負担分が発生した場合、支給完了後に確認し、期日までに葬儀社へ支払いをしてください。

葬祭扶助を利用する際の注意点

葬祭扶助制度を利用する際は、以下の2点に注意してください。

・葬儀の内容が決まっている
・生活保護葬は費用を追加することはできない

それぞれ詳しく解説します。

葬儀の内容が決まっている

札幌市の葬祭扶助による福祉葬では、葬儀の内容があらかじめ決まっており、経済的負担を軽減するために必要最低限のシンプルな形式で執り行われます。

福祉葬では、通夜や告別式も簡素化され、豪華な祭壇や特別な装飾・供花や音楽などは用意されません。火葬および遺骨の安置にかかる基本費用のみが扶助の対象となり、納骨やその他の追加サービスに関する費用は自己負担が必要です。また、式次第や進行も規定されており、遺族が大幅に内容を変更することはできません。

また、葬儀は札幌市が指定した葬儀社により進行され、指定外の葬儀社や追加のオプションは利用できません。扶助を利用する場合は、シンプルな形式での見送りとなることを確認したうえで申請することが重要です。

生活保護葬は費用を追加することはできない

札幌市の生活保護葬(福祉葬)では、葬祭扶助によって必要最低限の葬儀費用が支給されますが、原則として遺族が費用を追加して葬儀内容を変更することはできません。福祉葬は、経済的に困窮する家庭が故人を見送るために、札幌市が定めたシンプルな形式で行うことを目的としており、遺族の意向でオプションを加えることは制度上認められていません。

大前提として、葬儀内容や費用はあらかじめ札幌市の規定に基づいて決まっており、指定された範囲を超える追加サービスやカスタマイズができないことを覚えておきましょう。扶助の範囲を理解し、決められた内容で葬儀を行うことが求められます。

まとめ

札幌市の葬祭扶助制度は、生活保護受給者や経済的に厳しい遺族が最低限の葬儀を行えるようサポートが受けられる制度です。扶助によって火葬費や遺体搬送費がカバーされ、経済的負担を軽減できる点が大きな利点です。

一方、葬儀内容は札幌市指定の簡素な形式に限られ、豪華な装飾や追加費用は認められません。指定葬儀社の利用やカスタマイズはできないというデメリットもあります。制度の規定内容を理解したうえで、福祉事務所と相談しながら申請を進めることが大切です。

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