喪主・関係者の知識
「初めてのお盆で何を準備すればいいか分からない」
「そもそも初盆って何をするもの?」
「親戚や友人を呼んだほうがいい?」
故人が亡くなられてから初めて迎えるお盆を「初盆」といいます。一般的なお盆と異なる点が多々あるものの、経験する回数が少ないため、何をするべきか分からず悩む方もいらっしゃるでしょう。
そこで、本記事では初盆の意味・準備するべき内容・初盆の迎え方や過ごし方などを解説します。
初めての初盆で困っている方は、ぜひ参考にしてください。
<この記事でわかること>
- ・初盆を行う意味
- ・初盆に必要な準備
- ・初盆の迎え方・過ごし方
- ・初盆法要に参列する際のマナー
「初盆(新盆)」とは?
初盆(はつぼん)とは、四十九日を過ぎてから初めて迎えるお盆を言います。地域によっては「新盆(しんぼん・あらぼん)」と呼ぶ場合もあります。
故人の魂が初めて自宅に戻って来る大切な日であり、通常のお盆よりも盛大に供養を行うのが一般的です。
通常のお盆との違い
故人を自宅に迎えて供養する点では、初盆・通常のお盆、どちらも変わりありません。
しかし、初盆は故人が初めて帰って来る特別な日とされているため、供養のために法要を行います。
具体的な相違点は以下のとおりです。
初盆 | 通常のお盆 | |
規模 | 親族や知人など多くの人が集まり、故人を迎える | 比較的小規模で簡素に迎える |
法要 | 法要を行うのが一般的 | 地域によって異なるが、法要を行わない場合も多い |
参列者 | 親戚や親しい友人を招いて会食を行う | 招かない場合が多い |
道具 | 「白提灯・白紋天」を使用 | 特別用意するものはない |
初盆の期間・日程
お盆は、地域によって以下いずれかの日程に分かれます。
- ・7月13日〜16日(新暦)
- ・8月13日〜16日(旧暦)
時期が異なる理由は、明治時代の暦制度改変によって、新暦にならう地域と旧暦どおりに行う地域に分かれたためです。
東京を中心とした一部の地域では7月にお盆を行いますが、全国的には8月のお盆が主流となっています。
なお、四十九日法要と近い場合は、初盆を来年にズラしても問題はないとされています。例えば、四十九日法要が7月にあり、初盆法要が8月といった場合などです。
ただし、時期を変更するかはご家族や菩提寺の考え方に合わせましょう。
初盆でするべきこと
初盆では、以下の事柄を行います。
- ・盆棚(精霊棚)の設置
- ・初盆法要
- ・迎え火・送り火
特別な祭壇を作り、親族に声をかけて法要を執り行います。法要後は会食を開き、故人の思い出話をする席を設けるケースも少なくありません。
詳しい準備内容や初盆のやり方については、本記事の『初盆に向けて準備するもの』『初盆の流れ・やり方』で詳しく解説しています。
初盆にやってはいけないこと
祖父母や両親から「お盆に海や川に入ってはいけない」と言われてきた方も多いのではないでしょうか。
実は水遊びと仏教に関係性はなく、仏教的な視点から言うと「やってはいけないこと」というのはありません。
お盆に海や川へ入ってはいけないといわれている理由は、8月は台風やクラゲの発生などで水遊びが危険になる時期であるためです。
水難を回避する慣習であるため、仏教的に直接関係ないとはいえ、初盆を含めたお盆に水遊びをするのは控えましょう。
宗教・宗派による初盆の違い
宗教によって初盆への捉え方が異なります。同じ仏教であっても教義が異なれば初盆への意識も違うため、宗教・宗派における初盆の違いは把握しておいて損はありません。
本項では、以下の宗教・宗派に分けて初盆の違いを解説します。
- ・浄土真宗
- ・真言宗
- ・神道
- ・キリスト教
ひとつずつ見ていきましょう。
浄土真宗
浄土真宗では、初盆はしなくてもよいとされています。教義において、故人は亡くなってすぐ極楽浄土へ行き仏へ生まれ変わるとされているためです。
よって「お盆に故人が帰って来る」という考え方がなく、追善供養も必要ないとされています。
代わりに、阿弥陀如来様に感謝する「歓喜会(かんぎえ)」という法要を行います。
真言宗
真言宗では、追善供養をとても重要視しています。通常の初盆法要やお墓参りに加え、ご本尊へのお参りも行い、祭壇へお供物をする家が多い傾向です。
神道
神道では、初盆に「新盆祭」「新御霊祭」と呼ばれる儀式を執り行います。家族に不幸がなかったことを感謝し、家の守り神となった故人の魂を迎える儀式です。仏教の法要とは異なる細かいマナーが存在します。
キリスト教
キリスト教では、初盆を行いません。しかし、日本のキリスト教徒の場合、故人を偲ぶための儀式を行いたいときは神父や牧師に相談できます。
初盆に向けて準備するもの
初盆は通常のお盆よりも準備する内容が多いため、早めに取り掛かるのがおすすめです。
目安としては、1ヶ月前までに準備を開始しましょう。
初盆に向けて準備するべき内容は、以下の6つです。
- ・初盆法要の手配
- ・白提灯(白紋天)
- ・盆棚(精霊棚)
- ・お供物
- ・精霊馬・迎え火
- ・お布施
なお、以降で解説するのは一般的な初盆の準備内容です。詳細は地域や宗派によって異なるため、詳しくは菩提寺や親族に相談しましょう。
初盆法要の手配
初盆法要を執り行うためには、以下の手配が必要です。
- ・法要の日程と場所の決定
- ・僧侶の手配
- ・会食会場の決定
- ・参列者への連絡
- ・返礼品の準備
法要の日程はお盆の中日(7月・8月ともに15日)に行うのが一般的です。会場は自宅となるケースがほとんどで、菩提寺がある方は僧侶へ連絡をします。お盆時期は僧侶が非常に忙しくなるため、早めに連絡しておきましょう。
会食は自宅または料理屋さんを予約しますが、最近は会食の場を開かないケースも多くなっています。
参列していただきたい親族などに開催する旨を連絡し、参列のお礼として返礼品を用意します。1,500円〜5,000円が相場です。
白提灯(白紋天)・盆提灯
初盆では、「白提灯」「白紋天」と呼ばれる真っ白い提灯を用意します。故人が自宅へ帰る際、迷わないように目印として灯す提灯です。
本来は玄関先に吊り下げますが、近年は住宅事情に合わせてベランダやお仏壇の横に飾るケースも増えています。仏具店や通販サイトで購入可能です。
なお、白提灯は初盆のみ使用する道具であり、通常のお盆では絵入りの提灯を用意します。
盆棚(精霊棚)
盆棚とは、故人の魂を迎え入れるために用意する小さな祭壇のようなものです。「精霊棚(しょうりょうだな)」とも呼ばれています。初盆と通常のお盆で飾り方に違いはありません。
簡単な組み立てセットを購入してもよいですし、四十九日まで使用する後飾り祭壇を再利用することも可能です。
お供物
お供物には、五供を用意します。五供とは「香・花・灯明・浄水・飲食」を指し、具体的には、お線香・供花・ろうそく・お水やお茶・食べ物の5つです。食べ物には、炊き立てのお米や季節の果物、お菓子などがよく選ばれています。
精霊馬・迎え火
精霊馬(しょうりょううま)とは、故人や先祖の霊を送迎するための乗り物を指します。本当の乗り物ではなく、キュウリとナスに割り箸などで足をつけ、馬と牛を模したものです。
行きは自宅へ早く帰って来られるよう、キュウリの馬を用意します。帰りは自宅で過ごした余韻に浸りながらゆっくりお帰りください、という意味をこめてナスの馬を供えるのが一般的です。
迎え火は、故人の魂を迎え入れるために焚く火を指し、煙をたどって霊魂が自宅へ戻って来るとされています。
ホームセンターやスーパーなどで購入可能です。近年は必要な道具がすべてセットになっているものも販売されています。
お布施
僧侶へお渡しするお布施の用意も必要です。相場は3万円〜5万円ほどで、法要会場が自宅の場合は、僧侶の交通費としてお車代を5千円〜1万円程度多く包むとよいでしょう。お布施の表書きは「お布施」とします。
初盆の流れ・やり方
初盆は以下の流れで進めていきます。
日程 | 内容 |
13日 | 迎え盆・お盆の入り |
14日 (地域によっては15日も含む) | お盆の中日 |
16日 | 送り盆 |
※7月・8月いずれも日付は同じ
それぞれの日にちに何をするか解説していきます。
迎え盆・お盆の入り
7月または8月の13日は故人をお迎えする準備を整えます。
午前中にお墓の掃除やお墓参りを行いましょう。午後からは盆棚を設置し、お供物を飾ります。キュウリとナスを用いた精霊馬も、このときに飾りましょう。
お菓子や果物などのお供物はお盆期間中お供え時続けていて問題はありませんが、食事は毎日3食あげるのが理想です。難しい場合は、お盆の中日(14日・15日)だけでも用意しましょう。
夕方には玄関先や墓地で迎え火を焚き、白提灯に灯を灯します。
お盆の中日
14日はお盆の中日です。地域によっては15日も中日としているため、分からない方は前もって確かめておきましょう。
中日には初盆法要を執り行います。主な流れは、僧侶による読経・参列者による焼香・会食です。
法要後にはお墓参りをし、会食では故人を偲びつつ思い出を語り合います。
送り盆
16日はお盆の最終日です。送り火をたいて故人の魂を見送ります。少しでも長く自宅にいてもらうため、送り火は夕方頃に焚き始めるのが一般的です。
送り火のあとは白提灯や盆棚を片付けます。当日中に片付けるのが難しい場合は後日でも問題はありません。
初盆のあと
初盆が終わったあとは、使用した品物を片付けます。白提灯は初盆にのみ使用し、以降は使わないため処分しましょう。
処分方法は「お寺に納める」「送り火で燃やす」「塩で清めて自治体の処分方法に従う」の3つから選びます。
他は翌年以降も使用できるため、埃や汚れを取り除き、元の形状に戻して箱に入れ保管しましょう。
初盆法要に参列する際のマナー
初盆に参列する際は、以下のマナーに気をつけましょう。
- ・服装は喪服
- ・初盆にも香典は必要
- ・お供物を用意する
ひとつずつ解説します。
服装は喪服
初盆法要では喪服の着用が基本です。忌明け以降の法要で服装が簡略化されるケースもありますが、特別指定がなければ礼服を着用しましょう。
「平服」と指定された場合は、準喪服を着用するのがマナーです。「平服=普段着」ではないため注意しましょう。
喪服のグレードや平服のマナーについては以下の記事で解説しているため、参考にしてください。
【喪主・参列者】葬儀の服装・マナー・身だしなみについて解説【NGな服装も紹介】
初盆にも香典は必要
初盆においても香典は必要です。包む金額は故人との関係性によって異なります。一般的な相場は以下のとおりです。
初盆法要における香典の相場 | |
両親 | 1万円〜3万円 |
兄弟 | 1万円〜3万円 |
祖父母 | 1万円前後 |
叔父・叔母 | 5千円〜1万円 |
お供物を用意する
お供物は、お仏壇周りの消耗品かお菓子を用意するのが一般的です。相場は3,000円〜5,000円ほどとされています。のしの表書きは「御仏前」または「御佛前」が基本です。
法要に参列できずお供物を送る場合は、品物と一緒に参列できないことのお詫びを手紙にしたためて送りましょう。
【Q&A】初盆の準備についてよくある質問
初盆に関してよくある質問をまとめました。
Q.親戚に声をかけたほうがいい?
Q.初盆法要は必ずしないといけないの?
Q.家族だけで初盆を迎えるのはよい?
Q.初盆の時期をずらすのは問題ない?
ひとつずつ解説します。
Q.親戚に声をかけたほうがいい?
A.できれば親戚には声をかけたほうがよいです。
声をかける範囲に明確な決まりはありませんが、昔から日本ではお盆に親戚が一堂に会するのが一般的でした。
そのため、血縁が遠くても故人と親しかった親族などがいた場合は声をかけたほうがよいです。
声をかけずとも初盆法要を執り行う旨の予告だけは告げておいたほうがよいでしょう。
Q.初盆法要は必ずしないといけないの?
A.初盆は、必ずしなくても問題ありません。
ただし、菩提寺がある場合は必ずご住職に相談しましょう。
また、初盆法要をしない場合でも仏壇に手を合わせてお墓まいりをするなど、できる限り丁寧に供養するのが大切です。
Q.家族だけで初盆を迎えるのはよい?
A.家族だけで初盆を迎えても問題はありません。
近年は、親族を呼ばずに家族だけで初盆法要を執り行う家も増えています。
Q.初盆の時期をずらすのは問題ない?
A.以下の条件に該当する場合は初盆法要の時期をずらしても問題はありません。
- ・四十九日を過ぎる前に初盆が来る
- ・四十九日を過ぎてすぐ初盆が来る
上記に該当しない場合は、できる限り正規の日程で初盆法要を執り行いましょう。
まとめ:初盆は故人をお迎えする大切な儀式
初盆は、故人が亡くなられてから初めて迎えるお盆を指します。故人の魂を迎え入れる準備をし、法要を執り行って故人の魂を供養します。
地域によって7月盆と8月盆のいずれかに分かれ、東京都の一部地域を除き、8月にお盆を迎えるのが一般的です。
盆棚・白提灯・お供物・法要の手配などさまざまな準備が必要なため、1ヶ月前から取り掛かるのがおすすめです。
コープの家族葬ウィズハウスでは、葬儀のサポートだけでなく、その後の法要を含めたアフターフォローにも力を入れています。
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